内容説明
公衆衛生学という身体管理の言説を追いながら、悪臭を嫌悪し芳香を愛でる近代の社会的想像力を鮮やかにうかびあがらせる野心的試み。心性の歴史のなかでもっとも未開拓の領野に挑む!
目次
1 知覚革命、あるいは怪しい臭い(空気と腐敗の脅威;嗅覚的警戒心の主要な対象;社会的発散物;耐えがたさの再定義;嗅覚的快楽の新たな計略)
2 公共空間の浄化(悪臭追放の諸戦略;さまざまな臭いと社会秩序の生理学;政治と公害)
3 におい、象徴、社会的表象(貧民の悪臭;「家にこもるにおい」;私生活の香り;陶酔と香水壜;「汗くさい笑い」;「パリの悪臭」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Junichi Watanabe
2
#読了 。18~19世紀フランスのにおいの歴史について書かれている。それまで国民は糞尿、死体、塵芥等のにおいと共に暮らしていた。それがある時から忌むべき存在になって行く。「におい(悪臭)」の発明である。全体的に公衆衛生の話しで、後半にフランスらしい香水や体臭と性や恋愛、文学の関係性の考察が展開される。興味がない人は面白くないが、少し違う角度からの歴史に興味がある人は読む価値あり。「においに対する嫌悪感にまさるものは何もないであろう」またその逆も、恋人や近しい人を嫌いになった途端その人のにおいも嫌いになる。2024/09/30