内容説明
みずから袋のネズミに落ちて潰滅した精鋭広島兵団の謎。千古不変の「破滅の法則」。こだまする白兵戦の雄叫び。雨となって飛来する敵弾。昭和18年の春、華中最前線に実戦経験のとぼしいエリート連隊長が着任。功にはやはり部下の必死の警告を怒鳴りつけ、七百の将浜を率いて未知の敵地に進入。すり鉢の底に達したとき、山上から中国軍最精鋭二千が喜び勇んで姿を現わす。激突、実に18時間、六割の将兵がここで戦死傷。だがミニ・インパール敗北戦の真相は闇から闇に―。かっての日本軍を支配し、現代の日本社会に生きつづけているいまわしい病根を、奇蹟の生還者が涙をもって次代のために糾明した鎮魂のイシブミ。
目次
1章 天宝山東方での惨澹たる敗北
2章 九死に一生を得て
3章 惨澹さる敗北はこうして始まった
4章 仕掛けられた罠にはまる
5章 砲と通信は置き去りにされる
6章 辛うじて包囲網を支えきる
7章 救援隊と周辺の友軍の動向
8章 天宝山始末記
9章 煮え湯を飲まされた伊藤中尉
10章 四川作戦の概要