内容説明
精神科医が語ったキレる子どもの真実。感情を抑えることは、よいことなのか。
目次
第1章 子どもたちはキレやすくなっている?(そもそも「キレる」ってなんだ?;赤ちゃんまでがキレだした? ほか)
第2章 精神医学はキレることをどうみてきたのか?(精神の病気と脳の病気;人格が壊れてキレるという偏見―統合失調症 ほか)
第3章 キレる子どもと発達障害(人間の精神をペット化しはじめた近代社会;発達障害を犯罪と結びつける大人たち ほか)
第4章 民間で行われているさまざまな対処方法(人間が人間を恐れ、敵視する時代に;実感を狂わせ麻痺させる専門性 ほか)
第5章 うまくキレる人になって、子どものキレを守る(まずは、とにかくキレることです;金のキレ目が、縁のキレ目な社会のなかで ほか)
著者等紹介
石川憲彦[イシカワノリヒコ]
東京大学医学部卒業。東京大学小児科助手、同精神神経科助手、マルタ大学客員研究員、静岡大学教授(保健管理センター所長)などを歴任し、現在、林試の森クリニックを開業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
37
【滝川一廣先生の次は、この方】『治療という幻想』が出会い。先生の温厚な佇まいを回顧しながら再読。感情を表現することは悪いことなのか? 精神科医の立場から、上手に「キレる子」の育て方を探る書。10年前の本だが、<キレることが、あまりにも過剰に問題視されています/キレることを一方的に悪としてきたこれまでの考え方とはまったくちがうので、「何がなんだかわからない」と戸惑う方も多いでしょう。そういう方のために、紙幅の大部分を割いて、なぜキレることが人間にとって大事なのかを説明>した書として、現在にも十分通じると。⇒2021/04/27
ぐっち
16
聞いたこともない出版社の新書ですが、目があってしまいました。「もし途中で読みつかれたり、興味がわかなくなった場合には、78頁(30頁先)へひとまず進んでください」とあって吹いてしまいました。最後の結論も「うまくキレる人になる」で、何だか変わった本だなあという印象でしたが、「ADHDの場合、当人がキレるまえに、まず周囲の大人がキレるのです」とか、「障害そのものによる犯行は稀で、障害のためにさまざまな不当な扱いを受け続けたために、ついに問題を起こしてしまうケースがほとんどなのです」とかはすごく腑に落ちました。2014/01/18
じぇりい
6
5章のまとめに笑ってしまった。「キレる才能」ってなんだ⁉︎2016/12/02
aki
3
キレることは現代社会で悪としてとらえられるが、水滸伝の時代には英雄として描かれていた。社会が変化し、知的労働、機械労働にそぐわない人や状態に病名がつき、治療が必要な対象と分類されるようになった。人間が危機に直面した時には扁桃体が活性化し、Fight or Flightを迫る反応が起こるが、現代社会ではFight(キレる)を選択することは社会からの逸脱を意味する。 発達障害について、特別支援教育に押し込んで特殊化するのではなく、一般教育の問題とするべき、という指摘は同意できる。 2024/05/12