出版社内容情報
東北、北海道、沖縄、そして東京――。
半世紀にわたって日本に暮らすベルギー生まれの日本学者が、
さまざまな文化的背景を背負ったシャーマンたちを訪ね歩き、
その肉声を多数採録した貴重なドキュメント。
不可思議な世界との交流をやわらかな筆致でつづったユニークな一冊!
私は本書のサブタイトルを「もしそれが本当だったら?」にすることもできただろう。いずれにせよ、私がこの本を心から書きたいと思ったのは、なによりシャーマンがいなくなると、日本人の魂の一部も消えることになると思ったからだ。
今後しばらくは奄美大島や沖縄では生き延びるだろう、需要はいまも非常に多いからだ。しかしシャーマンは東北(青森県の八戸、恐山)でも、同じく北海道でも消滅の危機に瀕している。北海道ではレラが最後のアイヌのシャーマンで、東北でも、中村タケはこの地方で正真正銘最後のイタコと言って間違いないだろう。
なによりも私の心を打ったのは、彼女たちが…自信にあふれていたことだ。彼女たちは自分たちの使命の重要さを一瞬たりとも疑っていなかった。それは人生につきまとう苦難への答えを求めて彼女たちのところに来る人たちを助け、苦痛を和らげ、その人生に意味を与えることである。私は幸運にも素晴らしい女性たちに接することができ、そのうちの何人かとは本当の友人になった。それだけで、この仕事に費やした私の努力が報われると思っている。(本書より)
内容説明
半世紀にわたり日本に在住するベルギー生まれの日本学者が、不可思議な世界の人々との交流を綴ったユニークな記録。東北、沖縄、北海道、そして東京―。さまざまな文化的背景を背負うシャーマンを訪ね歩き、肉声を多数採録した貴重なドキュメント!
目次
第1部 イタコ(東北のイタコ;盲目の女性たちの悲しい運命 ほか)
第2部 沖縄(霊魂「商売」;新納和文さん、ユタ(五一歳) ほか)
第3部 東京ほか(鶴見明世さん;マリア―魂の傷を治す ほか)
第4部 北海道(アシリ・レラ―平取のアイヌのシャーマン)
結論 最後のシャーマンを称えて
著者等紹介
ジョリヴェ,ミュリエル[ジョリヴェ,ミュリエル] [Jolivet,Muriel]
ベルギー生まれの日本学者、1973年から日本在住。早稲田大学と東京大学で社会学を勉強、東洋学博士。上智大学外国学部フランス語学科の教授を34年間務めたあと、2017年から名誉教授。日本社会に関する著書多数
鳥取絹子[トットリキヌコ]
翻訳家、ジャーナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
MASA123
ozapin
Hiroki Nishizumi
あおい