出版社内容情報
生き物たちの奮闘と哀切を描く感動のベストセラー『生き物の死にざま』の姉妹篇。
内容説明
明日の命もわからない世界で、生き物たちは「今」を生きている―土の中から地上に出たものの羽化できなかったセミ、南極のブリザードのなか決死の想いで子に与える餌を求め歩くコウテイペンギン、毎年熱帯から日本に飛来するも冬の寒さで全滅してしまうウスバキトンボ…限られた命を懸命に生きる姿を描き感動を呼んだベストセラー『生き物の死にざま』の姉妹編。
目次
1 愛か、本能か(コウテイペンギン―氷の世界で数か月絶食して卵を守り続ける父;コチドリ―子を守るための「擬傷」と遺伝子の謎 ほか)
2 生き物と人(セミ―羽化をはばまれた夏;シラスとイワシ―大回遊の末にたどりついたどんぶり ほか)
3 摂理と残酷(カエル―モズに串刺しにされたものたちの声なき声;クジラ―深海の生態系を育む「母」 ほか)
4 生命の神秘(雑草―なぜ千年の命を捨てて短い命を選択したのか;樹木―「生と死」をまとって生き続ける ほか)
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
51
生き物の死んでゆく様から生命を考える。特に最後の章の「生命の神秘」では自分が生きているという意味を色々と考えさせられた。2022/02/21
たまきら
41
非常に情感的な描写で動物の生態が紹介されています。動物にあまり興味がない人こそ共感しやすいかもしれません。深く考えるためのアイデアをたくさんいただき、読みながら想像を広げる贅沢な時間を楽しみました。冒頭の「愛か、本能か」という問いかけ(私個人は「プログラムされているが、経験や環境で変化するもの」と位置付けています)から、深く賛同する「X」と名付けられたエッセイの結びの言葉「今生きているのは、そんな幸せなただ一人の勝者なのだ」まで、考えることの喜びをたくさんいただきました。面白かった。2024/02/04
マリリン
36
生なくして死なし、死なくして生なし...生と死の流れが静かに語られている。命ははかなくても印象的だったのは、〈Ⅰ愛か、本能か〉の項のコウテイペン・生と死のリアルな関係に感動すらしたカバキコマチグモ。〈Ⅱ生きものと人〉の項のウナギ・ウシはどのような過程を経て食されるか、ここまでリアルに突き付けられると色々な想いが交錯するが。〈Ⅲ摂理と残酷〉は、これが自然界なのだと。〈Ⅳ生命の神秘〉の項の人間。今いるという奇跡。死を恐れるのは人間だけ。いずれは土に還る...読了し、時間を経て穏やかな時の流れを感じる。 2024/07/01
ヨノスケ
24
この本の帯に書いてある「生きるとは何だろう?死ぬとは何だろう?」という考えは人間だけが持つものである。生き物は今を生きている。「過去の後悔」や「未来の不安」「死の恐怖」など何もない。本能のまま生きるって幸せそう。そう思う反面、理不尽で残酷な運命が待ち受けているのも彼らの世界である。この本を読んで「命がある限り生きる」という、生き物としてのあたりまえの生死感に今更ながらハっとさせられた。2022/07/07
しん
24
命が尽きる時というのは、とても興味深いと思います。永遠でないのが命だと思いますが、昆虫やいろいろな生き物には、こんなにも違いがあるのだということは、ある意味初めて知りました。とても面白い本で、続編も是非読みたいと思っています。2022/03/10
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- 和書
- もっともっと、幸せに