出版社内容情報
政府要人暗殺、神風連の乱、西南戦争…
明治という国家権力に抗い、“維新のやり直し”に命を捧げた男たちの秘史。
・明治初年代に起きた不平士族による政府要人暗殺(未遂)や暴動の秘話8篇。
1 国事犯の誕生
明治初年代に生まれた国家転覆を企図する「国事犯」という概念。なぜ彼らのような存在が誕生したのか。
2 酒乱の志士
北越草莽の志士、長谷川鉄之進。長州の京都工作に協力し戊辰戦争の越後戦線でも尽力。それなりの名声もありながら人望だけがなかった。酒癖が悪かったのである。
3 思案橋事件
明治9年、旧会津藩士らが関東で挙兵を企てるも、力及ばず。東京隅田川の河口近い思案橋のたもとの船着場で、旧会津藩士らと警視庁巡査が乱闘。
4 雨の海棠(かいどう)
米沢の志士にして天才詩人、雲井龍雄。薩摩藩閥の専横に憤り、数々の美しい詩を残す。言動がピュア(不用意)すぎて、明治3年処刑。
5 雲の梯子(はしご)
幕末、萩の野山獄で松陰と出会った富永有隣(ゆうりん)。松陰に対抗意識むき出しで、松陰を下に見続けた奇人の生涯。
6 骸骨を乞う
幕臣、大谷木醇堂(じゅんどう)。19歳の時、秀才でありながらも家庭の事情で幕府の学問試験に不合格。以後、周囲の全てを恨み続ける。維新後、反権力にも拘わらず外務省に出仕、10年も勤務。
7 天(あめ)の浮橋(うきはし)
明治9年、廃刀令を不満として起こった、熊本敬神党(神風連)の乱。一連の不平士族反乱の中で唯一の「宗教的反乱」。その謎に迫る。
8 城山の軍楽隊
西南戦争で城山に追い詰められた西郷隆盛。その時、軍楽隊の演奏が鳴り響く。西郷の最期をめぐる一異説。
プロローグ 士族反乱の季節
国事犯の誕生
酒乱の志士
思案橋事件
雨の海棠(かいどう)─革命家になり損なった詩人─
雲の梯子(はしご)─松陰と張り合った男─
骸骨を乞う
天(あめ)の浮橋(うきはし)─神風連事件─
城山の軍楽隊
文庫版あとがき
野口 武彦[ノグチ タケヒコ]
著・文・その他
内容説明
酒癖が悪く大村益次郎暗殺に誘ってもらえなかった男の悲喜劇「酒乱の志士」。明治九年、関東で挙兵を企てた旧会津藩士らと警察官との激闘「思案橋事件」。熊本神風連の乱を宗教的深層から眺める「天の浮橋」。西南戦争での西郷隆盛の最期をめぐる一異説「城山の軍楽隊」など八編。明治の世を憂え、「維新のやり直し」に燃えた男たちを史料から描く歴史読み物。
目次
プロローグ―士族反乱の季節
国事犯の誕生
酒乱の志士
思案橋事件
雨の海棠―革命家になり損なった詩人
雲の梯子―松陰と張り合った男
骸骨を乞う
天の浮橋―神風連事件
城山の軍楽隊
著者等紹介
野口武彦[ノグチタケヒコ]
1937年東京生まれ。作家・文芸評論家。早稲田大学文学部卒。東京大学大学院博士課程中退。神戸大学文学部教授を退官後、著述に専念する。日本文学・日本思想史専攻。73年『谷崎潤一郎論』(中央公論社)で亀井勝一郎賞、80年『江戸の歴史家―歴史という名の毒』(ちくま学芸文庫)でサントリー学芸賞、86年『「源氏物語」を江戸から読む』(講談社学術文庫)で芸術選奨文部大臣賞、92年『江戸の兵学思想』(中公文庫)で和辻哲郎文化賞、2003年『幕末気分』(講談社文庫)で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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