出版社内容情報
「かんなかあさんがすきめいわくばかり」
これは最重度の重度重複障害児として生まれ、まわりのことを何も理解していない
と思われていた緩名ちゃんが、九歳のときに初めて表現した文章です。生まれつきの重度障害によってまわりとコミュニケートとれない子どもたちは、これまで「言葉をもたない」とみなされてきました。ところがパソコンや筆談、指談(しだん)などを使う特別な方法が開発されたことで、じつは豊かな言葉を心のうちに持っていたことがわかってきました。
これらの一つ、ドーマン法を紹介したNHKドキュメント「奇跡の詩人」には疑惑が集中しましたが、本書ではさまざまな方法でコミュニケートしはじめた人たちのケースが紹介されます。はたしてそのすべてがニセ物でしょうか。
多くのケースについて丁寧な取材をもとに書き下ろされた本書は、障害者とその家族の苦しみと喜びに寄り添った感動の書です。と同時に、「言葉とは?」「意識とは?」「人間とは?」という人間存在の根本を問い直す重要な示唆にも満ちています。
封印されていた「わたし」/息づいていた意識/言葉が語られるとき/
置き去りにされてきた言葉/言葉が開く世界/「奇跡の詩人」騒動/真
贋論争の向こう側/常識の壁/人と人の間を生きる
【著者紹介】
ジャーナリスト。1960 年鳥取市生まれ。九州大学法学部卒。NHKの記者生活を経てフリーランスに。著書『脳障害を生きる人びと』『認知症を生きるということ』(ともに草思社)、『被爆二世を生きる』(中公新書)、『被爆者が語りはじめるまで』(新潮文庫)ほか。
内容説明
「かんなかあさんがすきめいわくばかり」生まれつき身体の自由がきかない緩名さんは、最重度の「重度重複障害」と診断され、歩くことや話すことはもちろん、まわりのことを理解することさえできないと両親にも思われていた。その彼女が九歳のとき、パソコンを利用する装置によって、生まれてはじめて自分の気持ちを言葉で表現した。「言葉を持たない」と思われていた重度の障害者たちが、じつは豊かな言葉を持っていた。いくつものケースを丹念に取材して、重度の障害者たちが置かれている状況を見つめつつ、言葉とは何か人間とは何かという根源的な問いを投げかける力作ノンフィクション。
目次
第1部 紡ぎだされる言葉(封印されていた「わたし」;息づいていた意識;言葉が紡ぎだされるとき;置き去りにされた言葉;言葉が開く世界)
第2部 開かれる扉(「奇跡の詩人」論争;真贋論争の向こう側;常識の壁;人と人との間を生きる)
著者等紹介
中村尚樹[ナカムラヒサキ]
ジャーナリスト。1960年生まれ。九州大学法学部卒。NHK入局。記者として原爆被爆者や医療問題などを取材し、岡山放送局デスクを最後に独立。これまで九州大学、法政大学、大妻女子大学で「平和学」等を非常勤で担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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