出版社内容情報
ヒトラーの覚醒とナチスの勃興をモデルにした幻の小説、初の邦訳!独裁者誕生
に立ちあった医師の視点で鮮やかに描き出す。
第一次世界大戦後のヨーロッパに、すさまじい変動とはかりがたい苦しみをもたらした稀有な人間たち、その中には「あの男」もいた。
運命は私にその男の人生に一役買うことを命じたのだ。……まずは一九一八年十月末から十一月はじめのあの日までの私の人生を、手短かに述べることにしよう。(本書より)
第一次大戦に参戦し失明状態に陥っていた若者「A.H.」を治療し、その男の中に眠る全能感を呼び醒ました医師の独白――という形式で綴られた異色の小説。第二次世界大戦へとひた走る危機の時代を、独裁者誕生の瞬間に立ちあった医師の視点で鮮やかに描き出す。
【著者紹介】
両大戦間期にドイツで活躍したユダヤ系作家。カフカ、シュテファン・ツヴァイクとの交流でも知られる。1882 年、モラヴィアに生まれ、外科医として働いた後、ワイマール期のベルリンで執筆活動に入る。ナチス政権の成立後、パリに亡命。1940 年、ドイツ軍のパリ侵攻の日に自殺。作品に『ガレー船』『鎖につながれた獣たち』『神明裁判』などがある。
内容説明
第一次世界大戦に従軍し、毒ガス攻撃によって失明状態に陥っていた若者A・H。医者としてA・Hと対峙し、この男の中に眠る全能感を呼び醒ました「私」が半生を語る―というかたちで綴られた異色の小説。第二次世界大戦へとひた走る危機の時代を、独裁者誕生の瞬間に立ちあった医師の視点で鮮やかに描き出す。1938年に執筆された亡命作家の遺作。
著者等紹介
ヴァイス,エルンスト[ヴァイス,エルンスト] [Weiss,Ernst]
1882年モラヴィア生まれ。プラハおよびウィーンの大学で医学を学び外科医として勤務。1913年世界周遊の旅から帰国後、処女小説『ガレー船』を刊行。1914年第一次世界大戦が勃発すると、オーストリア・ハンガリー帝国の軍医として東部戦線に従軍。1921年プラハからベルリンに移り、1923年頃から作家活動に専念。1933年ヒトラー政権の成立にともないドイツを離れ、1934年からはパリで執筆活動を続ける。1940年6月ドイツ軍のパリ占領時に自殺
瀬野文教[セノフミノリ]
1955年東京生まれ。北海道大学独文科修士課程卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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