内容説明
日本・インドネシア両国の資料に加え、オランダの一次資料や、関係者とのインタビュー成果もふんだんにまじえて、複雑なファクターが絡み合う二国の関係を整理・再構成した労作。公式・非公式に両国をつないだ人的ネットワークにも着目して、二つの海洋国家がたどった激動の歴史を読み解く。
目次
第1章 戦争で運命を狂わされた人たち―もう一つの終戦処理
第2章 戦後復興のなかで―一九五〇年代の日イ関係
第3章 インドネシアの脱植民地化と賠償問題
第4章 賠償の実施―一九六〇年代の日イ関係
第5章 「戦後」との訣別―新たな日イ関係の到来
第6章 インドネシア社会に息づく日本軍政の名残
第7章 いまだ癒されぬ戦争の傷跡
終章 インドネシアにおける対日歴史認識
著者等紹介
倉沢愛子[クラサワアイコ]
1946年生まれ。東京大学教養学部・同大学大学院修了。コーネル大学大学院にて博士号(インドネシア史)取得。在インドネシア大使館専門調査員、名古屋大学教授等を経て1997年より慶應大学経済学部教授。日本占領期の歴史ならびにインドネシア現代社会における開発と社会変容の関連を研究テーマとする。著書『日本占領下のジャワ農村の変容』でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
1
15 とりあえ 日本占領はインドネシア社会をどう変えたのか。そして、それは二国の「戦後」にどう影響したのか。公式・非公式に両国をつないだ人的ネットワークにも着目し、ふたつの海洋国家がたどった激動の歴史を読み解く。 2011/12/15
エドバーグ
0
非常に綿密な文献調査と現地聞き取りによって、日本とインドネシアの戦後から2000年ころまでの関係を淡々と述べている労作と思います。次ぎの内容には従来思いもよらなかったことが論証されており、感心しました。 ①慰安婦、強制労働についてインドネシアの政府はどう考えており、実際の 民衆レベルではどう思っているのか ②なぜインドネシアは日本にとって有利なサンフランシスコ講和条約の賠償に合意したのか オランダからの独立運動とどのような因果関係にあったのか。 韓国中国との関係から見ても興味深く、一読をお勧めし2015/12/24
じろう
0
慰安婦、残留日本兵、日本当地軍政、日イ混血子女の運命、戦後賠償など興味深い。戦後賠償が日本経済の発展にも役立ったこと、政治家のコミッション。日本軍政の隣組制度が戦後独立インドネシアに存在し続けたこと。誰かこのあたりの問題を朝鮮半島にも地道に検証する著作がないものか。あの国に関しては客観的な研究は不可能のようだ。2018/06/28
-
- 和書
- 夢の浮橋 中公文庫