内容説明
遊牧民の少女ワリス・ディリーは、夜の砂漠へ逃げ出した。老人と結婚するなんて嫌。自分の人生を生きるため、砂漠の中をひた走る。やがて運命に導かれるようにロンドンへ。写真家の目に止まり、スーパーモデルへの階段を駆け上がる。だが華やかな成功の裏で、ある秘密が彼女を苦しめていた―。衝撃的な女子割礼の事実を公表し、世界的なベストセラーとなった話題作。映画『デザート・フラワー』の原作。
目次
逃走
家畜とともに
遊牧民の暮らし
女になるということ
婚約
モガディシュへの道
親族たち
ロンドンへ
メイドの生活
ようやく手にした自由
モデルの仕事
体の秘密
パスポート問題
スターダム
再会
新たな生命の恵み
国連特別大使
故国への思い
著者等紹介
ディリー,ワリス[ディリー,ワリス][Dirie,Waris]
1965年(頃)、ソマリアの砂漠に暮らす遊牧民の家庭に生まれる。13歳のときに砂漠から逃げ出して、ロンドンに渡り、写真家に見いだされてモデルになる。ELLE、Vogue、Glamour誌などにたびたび登場し、スーパーモデルとして活躍。アフリカのイスラム社会で今も行われているFGM(女性性器切除)の体験を記し、この慣習の存在を広く世界に知らしめた。2002年ワリス・ディリー基金を設立。FGM廃絶に向けた活動を精力的に続けている
武者圭子[ムシャケイコ]
静岡県生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
26
強制された結婚から命がけで裸足のまま著者が逃げ出した70年代はフェミニズムの時代、しかしテレビも新聞もない彼女がそれを知る由もなく、借り物の思想でなく自分の考えで自由へ向かって逃走したところに強靭さを感じる。外性器切除の場面は苦痛と孤独がひしひしと伝わり、ページを繰るのも辛い。祖国ソマリアの内戦を男同士のエゴの衝突ととらえ、男たちの性器を切除すれば平和になるだろうとの指摘に心から同感。割礼の悪習にもかかわらず、それ以外の点ではソマリアはすばらしい国で、そこに生まれたことを後悔したことは一度もないという。2020/09/28
お静
21
貧しいソマリアに生まれ砂漠を何日も歩き逃げだしたワリス。ロンドンでモデルになりその後NYでスーパーモデルとして活躍し勇気をもって今もアフリカで行われている女子割礼の反対活動をしている。幼い頃育ったソマリアの自然を忘れる事無くこれでもかと逆境に耐えた生き方を絶讃したい。我々の想像の域ではない。2017/08/26
スー
19
ソマリアの遊牧民の子供として産まれたワリス・ディリーの体験談。アフリカの女性達は子供時代は家事や動物の世話や水汲みに追われ結婚の為に割礼を受けさせられ知らない男性と結婚させられ、結婚後は出産、子育て、家事と夫の世話で生涯を終える。FGMによる障害は終生続く、ワリスは性器を閉じられた時に開けられた穴が小さい為にオシッコは10分くらいかかる時もあるし生理時も痛みに苦しむ。彼女の姉も割礼後、壊疽をおこし凄まじい悪臭を放ち亡くなりました。出産時に母子共に亡くなる事もあるそうです。こんな苦しみが無くなりますように。2018/05/02
ふろんた2.0
12
ソマリアの遊牧民だったワリスがスーパーモデルになるまでの伝記。アフリカ遊牧民の生活、風習など知らないことばかりで、辛く悲しい話も多いが有意義な読書体験だった。2016/06/03
幸音
8
5歳で割礼(女性器切除)をし、後遺症に苦しみながら家族と違う道を歩みモデルとなったワリス・ディリー。かつての経験と人生を書いた実話。本当に恐ろしい慣習に目を覆いたくなるけれど、日に6千万人もの幼い少女たちが男性の無知と伝統により傷つけられています。女性器切除はコーランにも書いてないのに、親は割礼をさせないと娘が嫁にもらえないと信じ、また少女たちは大人の女になれると信じている。アフリカだけでなく移住先の欧米でも行われており、ステレオを最大音量にし娘の悲鳴が聞こえないようにして父が切除なんておかしい!2011/09/26