内容説明
一九九九年十二月、北朝鮮旅行の最中に突然、スパイ容疑で拘束され、二年二カ月抑留ののちに解放された新聞記者の回想記。平壌市内のあちこちの監禁場所で尋問責めの毎日を送り、いわれない苦しみを味わった年月を率直につづる。
目次
第1章 突然の拘束
第2章 監禁と尋問
第3章 犯罪意識なき工作員たち
第4章 抑留は「長期戦」に
第5章 帰国間近とも知らずに
第6章 北朝鮮とはどういう国か
著者等紹介
杉嶋岑[スギシマタカシ]
1939年、静岡県磐田市福田生まれ。磐田南高校卒。一橋大学大学院修士課程(経済政策学専攻)を1965年3月修了。同年4月、日本経済新聞社入社。日本工業倶楽部、経団連記者クラブを拠点に産業界を取材。日本経済研究センター出向、記事審査部を経て1999年6月、同社を定年退社。在職中に中国、旧ソ連、ベトナム、旧東ドイツなど社会主義国巡りをし、北朝鮮には1986年以来、5回訪問。1999年12月、5回目の訪朝時に帰国直前、平壌で拘束され2年2カ月の抑留生活を送る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroki Nishizumi
4
北朝鮮のスパイ活動の酷さもさることながら、わが国を引っ張るべき人物たちがこれほど堕落している方がショックだった。2018/10/02
mimm
4
敵は同じ日本人(国内)だったとは…。とりあえず、生きて帰ってこられて良かったですねぇ、と。日本のスパイ天国状態は正直怖いと思いました。2012/01/14
びんとろ
3
北朝鮮の善良な監視員たちとのほのぼのとした日々が書かれています。恐ろしい国ですが、憎めない人々です。 内閣情報調査局、公安調査庁の二重スパイや、誤報を流すTBS、M新聞など本当の敵は日本にいて恐ろしい。 有事の際は日本は内部から崩壊しそうですね。スパイ防止法を早く作って欲しい。 拷問などされることなく生きて帰ってこれて本当に良かった。2018/12/12
Porco
3
日経新聞の記者が、定年退職の半年後、5度目の北朝鮮訪問中に拘束され、2年2カ月におよぶ抑留生活を送った記録。さすが新聞記者だけあって、記録の大部分を持ち帰れなかったとはいえ、詳細に書かれています。北朝鮮の情報機関の人間が、仕事の面、素の人間の面、それぞれでどのような行動をとるのかよくわかります。日本の情報機関やメディアから北朝鮮に個人情報が流れているという恐るべき事実も。「結果の善」が問われず、「動機の善」で体制が維持されているというのは、端的に本質を突く指摘だと思いました。2014/07/23