内容説明
なぜ、137という数なのか?ユングとの秘密の共同研究で探究した、物理学の「数」をめぐる謎―。二〇世紀物理学と神秘主義の意外な‘近さ’を明らかにする科学史ノンフィクション。
目次
ユングとユング心理学の生い立ち
若きパウリの栄光と挫折
ユング心理学と錬金術の深い関係
パウリの排他原理と「ジキル博士とハイド氏」
三と四の戦い―錬金術と近代科学の夜明け
パウリとハイゼンベルク―量子物理学の大躍進
チューリヒでの新生活がもたらしたもの
パウリの夢を分析し、治療する
マンダラと分析の終わり
物理学と心理学の融合を追い求めて〔ほか〕
著者等紹介
ミラー,アーサー・I.[ミラー,アーサーI.][Miller,Arthur I.]
ロンドン・ユニバーシティ・カレッジ科学史・科学哲学教授
阪本芳久[サカモトヨシヒサ]
1950年神奈川県生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。出版社勤務を経て、現在は翻訳業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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内島菫
17
物理学上の発見は天才しかなし得ないとしても、パウリが考えるように、それはこの世界のほんの一部について言えるに過ぎない。一見絶対的に正しく見えることでも、より微細な世界やより弱い力の場では破れが生じている。また、私たちが使用している単位系以外でも同じ値になる(つまり無次元数)「137」という微細構造定数(原子の指紋ともいえる原子のスペクトル線を特徴付ける一定不変の数)のように、完全に人間の頭の構造の外部にあるものもある。これらをたった一つの理論で表わすこと(統一理論)自体が誤りのようにも思えてくる。2016/02/11
eirianda
11
他の方の感想を読むとパウリの章はわかるが、ユングの章はさっぱりわからないとありました。わたしはその逆。ウロボロスとか宇宙時計のイメージとか、かなり興奮しました。過去を遡ると科学者も心理学者も錬金術師に繋がるのだ! 今となってはユング心理学もオカルトっぽいけど、物語のメタファーとしては宝の山。2020/11/17
OZAC
7
20世紀の物理学者のなかで一番気になっていたヴォルフガング・パウリの伝記。正直、彼が神秘主義に傾倒していたことは意外だった。ユングの心霊主義やオカルト主義を否定するわけではないが、もっとパウリに焦点を当ててほしかった。一番面白かったのはやはり「パウリ効果」のくだりだろう。 ジョークも科学用語(逆パウリ効果など)と化すのは、さすが物理学者である。こういうエピソードは本当に素晴らしかった。2019/11/02
おーしつ
7
「完全性のみが明晰さに通じ、真実は深淵に横たわっている」 原子物理学が視的イメージにない段階に入ったときに、夢から発想を得たというのが面白い。 物理学と心理学の不思議な相補関係。マンダラ、共時性、数秘学・・・・ 万物理論は解かれる日が来るのだろうか。 それにしてもアーサー・I・ミラーの本はどれも素晴らしいな。2011/06/30
EnJoeToh
4
オカルトに対して無防備すぎる。2010/12/20
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