内容説明
ブラックホールがこの宇宙に存在する―1930年にそれをはじめて理論的に指摘したのは、インドからきた19歳の天才少年、チャンドラセカールだった。しかし、学界の重鎮エディントンはこの発見を無根拠に否定、その結果、ブラックホールの研究は40年近くも停滞し、チャンドラセカールの人生にも大きな影を落とすことになる…。ブラックホール研究の草創期の科学者たちのドラマを中心に、冷戦時代の軍拡競争がもたらした意外な研究成果、最新の研究事情まで、天体物理学最大の発見がたどった数奇な歴史を描き出す。
目次
決定的な衝突のとき
イギリスへ旅立つまで
天体物理学の巨人、エディントン
エディントンの味方と敵
英国への旅立ちから運命の日まで
エディントンの真意
新天地アメリカへ
一つの時代の終わり
星の研究をはじめた物理学者たち
水爆開発と超新星の研究
ありえないことが現実に
姿を現したブラックホール
「美しいものを前にしての戦慄」
心の奥底、ブラックホールの奥底
著者等紹介
ミラー,アーサー・I.[ミラー,アーサーI.][Miller,Arthur I.]
ロンドン・ユニバーシティ・カレッジ科学史・科学哲学教授
阪本芳久[サカモトヨシヒサ]
1950年神奈川県生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。出版社勤務を経て、現在は翻訳業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yooou
10
☆☆☆☆☆ 期待以上の深さと広がり!チャンドラセカール、エディントンらの生き様と共に近代の宇宙我々の世界に対する認識の変遷を語って頭一つ飛び抜けた良書でありました。2010/07/06
おーしつ
8
本書の内容は、引用されているアインシュタインの言葉「無限のものは二つしかない。宇宙と人間の愚かさ」に集約されている。 偉大な科学者であっても、愚かしい言動を取ることがある。それは原題にある「執念や裏切り」のせいなのだろうか。 しかし人間の叡智もまた無限大であることが、本書を読めば分かるはずである。 見たこともないものの存在を予測し、あらゆるものを観測しようとする科学者達の物語には感動を覚えざるを得ない。 2010/05/27
空飛び猫
4
科学の世界の素晴らしさ、厳しさ。 科学では割り切れない、人間の弱さ。2014/03/07
takao
3
ふむ2022/12/19
メルセ・ひすい
3
12-11 赤03 インドの天才のその後・人種差別はアタリマエ時代の物理天体学 インド人の天才はつらかった。英国の学界の重鎮エディントンの無根拠否定。植民地出身の天才少年 現在はホール否定論が喧しいが… 冷戦時代の軍拡競争が齎した意外な研究成果が…インドから来た19歳の天才少年・チャンドラセカールは、大発見を成し遂げるが、非運が待ちうける…。アングロサクソン学界の恐怖…天体物理学最大の発見が辿った数奇な歴史を、あまりにも人間的な科学者たちのドラマとともに描き出す。 2009/09/20
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