内容説明
そこには、底知れぬ豊饒さがあった―。かつて日本の近代を「地の底」から支え続けた炭鉱夫(=炭鉱太郎)たち。彼らはどこからやってきて、どこへ消えたのか?ヤマをめぐる欲望うずまく歴史を縦糸に、無名にして確かに生きた人びとの濃密な生の軌跡をたどるルポルタージュ。
目次
プロローグ 失われた記録
第1章 甦る炭鉱太郎(「炭鉱で働いておったもんは一人もおらんよ」;たっちゃんと「麻生家のヤマ」 ほか)
第2章 ボタ山の老夫婦(筑豊富士のふもとのドラマ;「ボタも赤々と燃えるんよ」 ほか)
第3章 逆光のなかの「山の神」(坑夫の魂が還る場所;痕跡を消したヤマの守り神 ほか)
第4章 ヤマに消えたキリスト(徳川家康の山例五十三條;キリスト教宣教地域が暗示するもの ほか)
第5章 忘れられた西の果て(東洋一の対州鉱山;『忘れられた日本人』の里 ほか)
著者等紹介
七尾和晃[ナナオカズアキ]
1974年、石川県金沢市出身。ルポライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鱒子
28
図書館本。宇佐美まことさんの著書「愚者の毒」を読んで、自分の生まれ育った土地の事をあまりにも知らないと気付きました。「黒い手帳」?「炭住」? 私が生まれ育ち、現在も住んでいる所は、かつて炭鉱で栄えた場所です。しかし、私の身内には炭鉱従事者はおらず、マチの歴史は知らない事だらけでした。 地元の有名なスポーツ施設が、かつては炭鉱従事者の幹部養成学校だった事を知ったり、炭鉱労働者の中には、白人捕虜がいた事を知ったりと、まさに目から鱗の本でした。無知の知のスタートラインにやっと立った気がします。2017/03/08
江口紀
0
鉱山の事を調べていて、たどり着いた本書。ちょっと泣かせすぎなところがあり、NHKスペシャルの元ネタになりそうな感じはある。類書が少ないので手に入りやすさで貴重な一冊。
最終バック九番手
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弾圧された長崎キリシタンの末裔が筑豊炭田に多数流れていったらしい…あとがきと謝辞の自分語りには違和感が残る…参考文献:あり…第1刷発行:2009年3月2日…本体1700円2009/05/02