内容説明
六月、木戸幸一はついに「時局収拾案」をまとめ上奏するにいたる。これまで木戸はいくたびも和平への道を妨害してきた。昭和十六年十一月三十日、連合艦隊司令長官、山本五十六は高松宮を通して乾坤一擲、最後の直諌をおこなった。これもまた木戸の横槍で失敗に終わったのだが、この歴史にうずもれたエピソードを本巻では詳細に追求する。また、昭和十九年五月、元駐日大使グルーの登場をもって、対日政策の変化を読みとった近衛文麿、吉田茂、鈴木貫太郎、皇太后などがどのように動いたか、この一年半の戦争終結への動きをあらためて回顧する。六月十四日、日比谷公会堂で「第九」のコンサートが開かれ勤労動員の若者が多く詰めかけた。一方、沖縄ではまだ最後の死闘がつづいている。
目次
35 6月14日 この一年半を回顧して(一昨年に戻って―グルーのシカゴ演説;ルーズベルトとグルー;昨年に戻って―近衛文麿と吉田茂 ほか)
36 6月14日 さらに前に戻って昭和十六年十一月三十日(「これが天なり命なりとはなさけなき次第」―山本五十六、ぎりぎり土壇場で;「最後の聖断のみ残され居るも」―高松宮、ついに使命を果たせず;木戸幸一、いったい、なにを望んだのか―「陸海軍の真の協調」)
37 6月14日 大宮御所、そして日比谷公会堂(天皇、皇太后を訪問;田中喜代子の誕生会;林基世と岩淵敬子の誕生会)
著者等紹介
鳥居民[トリイタミ]
1929(昭和4)年、東京に生まれ、横浜に育つ。日本および中国の近現代史研究家。横浜市在住。横浜文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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