出版社内容情報
昭和20年、知覧の基地から出撃した若き特攻隊員たちの遺書を、彼らが命に替えて守った山河の風景写真をそえて紹介する。死を前にした若者たちの無垢な魂が胸を揺さぶる感動の書。
内容説明
六十年前の若者たちが命を捨てても守りたかったもの。再び還ることのできない出撃を前に、特攻隊員たちは真心のこもった手紙を書き残した。両親への感謝、幼い弟妹への気遣い、この国の未来への想い―。永別の哀しみの中にも取り乱すことなくつづられた手紙には、隊員たちの無垢な想いが溢れている。永久に語り継ぐべき感動の記録である。
目次
宇佐美輝夫
安原正文
矢作一郎
前田啓
清水保三
小林敏男
中村實
内田新一
佐藤新平
細金政吉
渡辺利廣
若杉潤二郎
溝川慶三
四宮徹
相花信夫
加藤虎男
鷲尾克巳
上原良司
高田豊志
中村憲二
松尾登代喜
奥山道郎
阿部忠秋
久野正信
山下孝之
藤田文六
渡辺綱三
藤井一
竹田源三
宮川三郎
枝幹二
麻生隆
和田照次
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
92
毎年終戦記念日が近づくと必ずテレビ本等で戦争特集がある。その頃に読みたかったのであるが…。特攻隊員として知覧の飛行場から沖縄周辺のアメリカ艦隊に向けて突撃するため飛び立った若き隊員たちが、おそらく決行の前夜に家族に書き残した最期の手紙、文章である。家族への感謝や家族の幸せを願い、今の自分の気持ちを清々しいと言う。この中では継母に向け慈しんで育ててくれたのにお母さんと呼べなかったことを謝り最後にお母さんお母さん…と呼びかけるものに胸がつまり涙が止まらなかった。どれも短い文章の中に深い思いがある。2020/09/29
えんちゃん
65
最近、生きること死ぬことについて思うところがあり、レビューに惹かれ手に取った。若き特攻隊員たちが遺した最後の手紙。家族、とりわけ母への感謝がつらい。もしも本当は死にたくない怖いと伝えたかったのだとしたら、と考えてみる。お国のために死ねる幸せなどと言わせる狂気の時代の上に今の日本がある。せめて最後はこの本の美しい風景を目にしながら逝ったと思いたい。2020/10/05
mukimi
31
歓んで特攻していく青年達の無垢さに感動すると同時に、その状況に疑問を持ち得なかった時代背景に憤りを覚えた。以前ならばただ涙涙で読み終えただけだったかもしれないが私も歳を重ねて弟達を見送るような気持ちになったからかもしれない。戦争がいかに馬鹿げた恐ろしいものかということはもちろん、今生きて居る自分の幸福さ、家族への愛を、悲しい手紙達は伝えてくれる。だからこそ人間の哀しい過ちの記録ともいえるこの本はこれからも読み継がれていくだろう。2018/10/12
キキハル
18
海。美しい海。紺碧の海。珊瑚礁。空。蒼い空。渡るしらとり。燃える夕焼け。昇る満月。水平線にかかる虹。天使の梯子。白樺林。可憐な野花・・・。美しい写真が続く。だがそれに添えられた遺書を平静な気持で読むことはできなかった。特攻隊員たちが遺した最後の言葉なのだから。『永遠の0』を読んだこともあり、これは・・・胸を締め付けられる。母を呼ぶ純真な若者の声に涙を止められない。私には息子はいない。だが同じ母として、空しく散った彼らの最期の絶叫が深く鋭く突き刺さる。その痛みを忘れてはいけないと思う。美しくて哀しすぎる一冊2010/08/24
Romi@いつも心に太陽を!
17
/再読。そのまま額面通りに受け取るのではなく、行間や、言葉の裏側から滲み出る彼らの想い、飲み込んだ涙、心の叫び、感情の濁流にのまれ、この青く美しい海の静謐さにわずかばかり慰められた。私はあなたたちを知らない。戦争を知らない。けれどこうしてあなたたちの言葉に触れたことを、決して忘れません。2010/08/16