出版社内容情報
15回にわたる遣唐使の全容。使節団の規模、航路、航期、航海日数など起訴事実の解明意を注ぐ。遣唐使の研究に不可欠の基本文献。
内容説明
遣唐使についての盲点のいくつかを取り上げて、遣唐使の知られざる行き来の実態を描く。
目次
序章 弘法にも筆の誤り(『空海の風景』への疑問;遣唐使の航海についての定説への疑問)
第1章 遣隋使・遣唐使の派遣回数(小野妹子と遣隋使;遣隋使の派遣回数 ほか)
第2章 遣唐使の時代区分と航路(遣唐使の時代区分;北路―朝鮮半島沿いの沿岸航路 ほか)
第3章 遣唐使の航跡と事績(第一回遣唐使 犬上御田耜;第二回遣唐使 吉士長丹 ほか)
第4章 遣唐使の船と航海(遣唐使船の形と大きさ;推進力は網代の帆 ほか)
著者等紹介
上田雄[ウエダタケシ]
1931年、神戸市生まれ。神戸大学文理学部文科日本史学科、法政大学文学部地理学科(通信課程)卒業。高等学校教諭、(財)阪急学園・池田文庫学芸員をつとめる。現在、日本海事史学会地方理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫草
8
遣唐使について主にその「航海」に焦点をあてた本。日付をすべて現在のグレゴリオ暦に換算して併記してくれているのがすごい。遣唐使船は帆船なので、それが「いつ」でどんな風(季節風)が吹いている時期なのかを正確に知ることが重要とのこと。あと、遣唐使と言えば有名な鑑真。何度も失敗して遂に失明しても不屈の精神で日本に来てくれた人。荒れ狂う波に翻弄され難波してそれでも諦めず…というのを想像していましたが、大洋に乗り出す前に日本に行かせたくない弟子達に阻止されたりとかもあったらしい。そりゃ嫌だよね、師匠が行っちゃったら。2022/11/26
momozy
6
遣唐使の全容をつかむことを目的に書かれた本書。今まで扱われてこなかった航海術や気象のことも積極的に記している。特に南島路の存在を緻密な資料検証により否定しているのは瞠目だった。航海自体も思ったより安定していて、漂流も少なかったというのも印象深い。今まで知ることのできなかった、航海の方法ものっていて横風でも遣唐使船は沈むことなく帆走できていたという記述も驚きだった。この書が広まり、遣唐使の真の姿が広まることを願う。(派遣された時の天皇の名があまり記されていないのが残念)2010/11/24
姫宮紅真
3
とても面白かった!遣唐使はその稚拙な操船技術のために苦難を強いられたという古い定説を覆すために書かれた本。遣唐使の航海を中心に詳しく見ることができて興味深い。2016/01/03
こにぃ
2
遣隋使、遣唐使すべての航海を網羅した本。新たな視点も示されていて、とてもためになった。こういう本を労作というのだろう。拍手を贈りたい。2016/01/07