内容説明
ありありとディテールを語る抜群の記憶力。九十六歳のさつよ媼、頭も体も元気、元気。貧乏も苦しいことも笑い飛ばすおおらかさ。決して人を恨まず、他と比較せず、これまでの半生を飾ることなくごく自然に、お国ことばもたっぷりと表情豊かに語ったきわめて上等な民話のようなはなしの数々。忘れてならない硬質な精神の輝きがここにある。
目次
渡り大工の家に生まれて
九つで子守りに貸されて
別天地だった岡谷製糸工場
亭主様は米谷の畳職人
苦労に苦労を重ねた母・ぢん
モッコ背負って迫川の土手づくり
肺病で家族四人つぎつぎに亡くす
戦後もつづいた迫川の土手づくり
土方から失対事業にかわっても
もとは地獄、いまは殿様
著者等紹介
石川純子[イシカワジュンコ]
昭和17(1942)年、宮城県生まれ。昭和40年、東北大学教育学部卒業。同年、岩手県水沢第一高校教諭となり、平成2年、同校を退職。退職後、個人誌『垂乳根の里便り』、麗ら舎読書会を拠点に、古老たちの聞き書きを続ける。それらの活動によって平成17年、農民文化賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スゲ子
7
お婆さんの昔語りってどうしてこんなに面白いんだろう!親父が呑んだくれで、夫が働かなくて、子どもを亡くしたり手放したり、身内を肺病でバタバタ亡くして、火事とか戦争とか、あと初婚だと思ってた夫が実は再々婚だったとか(仲人ォ!)ほんとに苦労と辛抱の連続なんだけど、不思議な清々しさと詩情とユーモアがあって、めちゃくちゃ面白かった!方言そのままの書き起こしで、その言葉がメロディアスでとても豊かで美しい。まるで詩や歌のよう。よく見たらタイトルも韻を踏んでる!2019/06/17
たっちゃん
2
雪と欲ぁ、積もるほど道忘れる。そうならないように利他の心で生きていきたいですね。根っこは繋がっている。2016/12/17
kenitirokikuti
0
聞き書き。表示されてる帯に「九つで子守に出され、三年で学校は終わり。家のため岡谷製糸工場へ。」父の出身地近くのお婆さんだ。石ノ森章太郎も近く。川向こうの村、ぐらい2014/06/24
Mamimumeter
0
あまり自分の意見を強く全面に押し出すことの無い竹馬の友Sちゃんが、珍しく「世界中の人に読んで(触れて)もらいたいと思うのー」とリコメントしてくれた御本。 これは「国宝」(宇宙宝?)。 同じ歳なんだけど、いつ逢っても尊敬する思想の持ち主で、どんな話題もありのままでシェアできる、唯一無二の存在であるSちゃんの感受はいつも「確か」で、ありがたい。 あとがきにお名前のある方、こちらの御本に携わられた、目に見えない隅々までの全ての方々に感謝をしています。 どうもありがとうございます。2014/03/01
眠り姫
0
さつよさんの卓越した記憶力と著者が揃わなければ、永遠に埋もれてしまった日本の歴史です。様々な観点から、非常に貴重な本だと思います。想像を絶する苦労と現実、言葉になりません。2013/09/16
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