内容説明
松本清張の『日本の黒い霧』は一九六〇年の雑誌掲載時から大きな反響を呼びその影響は今日にまで及んでいる。事実、下山事件や朝鮮戦争をめぐる新刊は今日に至るもなお刊行されている。確かに、清張のこの本を読むと、なんとなく米国のそういう陰謀があったのか、と思わされてしまうが、突きつめていくと、まったく違う現実が浮かび上がってくる。松川事件で死刑判決を受けた著者が、松本清張の作り上げた虚構をつぎつぎと引き剥がしていく。
目次
序章 『黒い霧』の秘められた出自
第1章 「下山国鉄総裁謀殺論」―神話の世界を走りつづける死体運搬列車
第2章 「推理・松川事件」―恐怖の目撃シーンはいまも沈黙を強いる?
第3章 「革命を売る男・伊藤律」―スパイという殺し文句の威力
第4章 「追放とレッド・パージ」―追放されて損をする者、得をする者
第5章 「謀略朝鮮戦争」―先に攻めこんだ北を後攻めにした人たち
第6章 「白鳥事件」―犯人が消えた先に犯人がいる?
第7章 『日本の黒い霧』が隠蔽したもの―自由と民主主義の四九年・日共武装闘争の五〇年
著者等紹介
佐藤一[サトウハジメ]
1921年栃木県日光に生まれる。36年、今市高等小学校卒業。38年5月国産精機設計部に入り、W・R・ゴーハム技師長の指導を受ける。41年東京芝浦電気株式会社マツダ研究所入所。43年6月海軍に招集され、通信学校で電探の教育を受けて青森、稚内、樺太に勤務。45年8月復員、東芝に復帰。鶴見工場設計部勤務となり、労働組合役員兼務。49年9月松川事件の容疑者とされ、第一審で死刑の判決を受けるも、63年9月完全無罪の判決。64年12月、下山事件研究会事務局長となり、『資料・下山事件』をまとめる。以後各種冤罪事件の支援活動のかたわら、占領史の研究と著作活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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