内容説明
ロシアの高名な鉱物学者フェルスマンの名著『石の思い出』は少年時代からの鉱物にまつわる思い出を詩的な文章でつづった鉱物エッセイである。コラ半島のユージアル石からオルスクの碧玉まで、19の珍しい話を集めている。ロシアの自然を描いた珠玉のエッセイとして、また鉱物入門書としても楽しめる本書を、新訳で贈る。
目次
思い出のひらめき
白と黒
サアーミ族の血
雪花石膏(アラバスター)
カラダーク火山で
白海石
きのこの採り方
TESTA NERA
モンチャ
天青石
三つの大理石
陸軍大佐山で
パミールの青い石
地質図
言葉の誕生
ダイヤモンド「シャー」
原子の反乱
二つの値打ち
石にたずさわる人々
著者等紹介
フェルスマン,アレキサンドル・エフゲニェビッチ[フェルスマン,アレキサンドルエフゲニェビッチ][Ферсман,Александр Евгеньевич]
1883年、ペテルブルグのドイツ系の裕福な家庭に生まれる。モスクワ大学で地球化学、鉱物学を修める。革命後は科学アカデミー会員となり、鉱物資源を各地に調査。コラ半島の鉱床の発見が有名。1945年没
堀秀道[ホリヒデミチ]
1934年、東京に生まれる。理学博士。鉱物科学研究所所長
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感想・レビュー
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diphylleia
3
巻頭の写真が美しい。20世紀前半の話なので古くさい話もあるかもしれないけれど(例えばプレートという考えもまだない)、当時の鉱物研究をめぐる人々の物語が魅力的。鉱物図鑑にのる様々な鉱物を、今まで私は既に知られている知識として眺めてきた。けれどそれもまた、長い時間の中で、鉱物に人生を捧げてきた人々によって発見され、分析されてきた結果なのだと、あらためて感じる。鉱物を野外で探す話が多く語られ、鉱物最終体験のある人ならもっと実感を持って読めるんじゃないかな。2011/04/13
パロリーヌ
1
読んでいてなぜかワクワクするような本でした。筆者の鉱物愛が感じられました。大人になったらぜひフェルスマン鉱物学博物館行ってみたいです♪2015/12/26
福ノ杜きつね
0
鉱物にまつわる人間ドラマあり、地球の成り立ちに思いを馳せ、一転、資源としての重要性を説く。とりとめのないようでいて、重層的な内容にページを捲る手が止まらなかった。端々に見える文学的表現に、著者の深い見識を垣間見る。人間と密接に関わる鉱物の世界へ、読みやすい文体で誘ってくれる名著だ。2025/01/07