内容説明
かつて「三増酒」という劣悪な日本酒が溢れていた時代とは違い、いまでは純米吟醸や大吟醸、『久保田』とか『八海山』といった有名な地酒をどこでも手軽に楽しめる。「いい時代になった」との印象を持つ人は少なくないだろう。だが現実は違う。七三年をピークに清酒の消費量は減少の一途を辿り、焼酎にも抜かれた現在では全盛期の半分近くまでに落ち込んでいる。この十年のあいだに三百数十の蔵が姿を消しており、大手メーカーは軒並みリストラを進め、民事再生法を申請した酒蔵も出てきた。日本酒が日本から消えていく…。何が日本酒を窮地に追い詰めているのか。著者は地酒の酒蔵から大手メーカー、酒販店、居酒屋等の「現場」を訪ね歩いて、日本酒の置かれている想像以上に厳しい状況を見た。だが同時に、その苦境の中で「うまい日本酒」に全霊を傾ける人々にも出会ったのだった。
目次
序章 日本酒が消える
第1章 地酒を醸す現場に行く
第2章 大メーカーという存在
第3章 酒を商う人たちの視線
第4章 うまい酒を呑ませる処
第5章 日本酒のゆくえ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼっこれあんにゃ
8
◎汎日本酒主義者と称し、日本酒を愛する著者が、焼酎などに押され、想像以上に厳しい日本酒業界の現況をレポートする。地酒の酒蔵、大手メーカー、酒販店、居酒屋等で出会う人々から伝わってくるのは「日本酒の素晴らしさを知ってもらいたい」という一念だ。そもそも、日本酒衰退の原因は1970年から80年代に酒蔵がまずい酒を作って来たことにあるという。そこへ行くと今は確実にうまい酒が手に入る恵まれた時代だとのこと。未だ低迷を続ける日本酒も、小手先の策でなく、本当に美味しい酒を作り続けることこそ再生の道と著者は説く。2013/12/19
むぁさし
1
あらためて日本酒好きを増やしたいと思わせられた一冊。いろいろな角度から主観を語ってくれた。評論家みたいな書き口でなくて好感がもてました。昨年発行されているので取材はその前なのでしょうね。今年だったらどんな意見かな?と想像するのも面白かった。そして久しぶりにとおるの店へ行きたくなった♪2012/10/05
nayuta2012
1
日本酒 酒造は奥深いものである。匠の一品をゆっくり味わいたい。2012/03/18
mahiro
1
この頃日本酒に興味が出て来た私だが、区分けや種類分けの複雑さで混乱する事も多い。 この本はその解説書としても分かりやすいし、日本酒が衰退した原因についても語られて成る程とうなずける点も多かった。 私の好きな香り高い大吟醸がばっさり斬られていたが… これからは個性的な純米酒にも目を向けて見ようかと思わせてくれた。 行きつけの蕎麦屋さんに大信州あるんです〜2011/11/30
someru
1
日本酒好きなら共感できるかも。本で出てきた蔵の酒は一度飲んでみよう。2010/06/06