内容説明
一九三〇年代を再現したカフェ、憂いにみちた街角のプーシキン像、朽ち果てゆくフランス街の洋館、外灘を走る輪タク、ストリートガーデンで踊る孤独な男女、歴史に翻弄された人々の肖像。華やかだった時代の記憶のかけらを拾いながら、新旧が交錯する街の陰影と、そこに生きる人々の哀歓を、透明感あふれる文体で描く。中国文学の新たな可能性を予感させる、注目の女性作家、珠玉のエッセイ集。
目次
珈琲(時代珈琲館の昼下がり;一九三一年を追憶するカフェ ほか)
房屋(張愛玲のアパルトマン;心優しい画家の応接室 ほか)
街路(フランス街の夜霧の向こう;プーシキン像のある街角 ほか)
庶民(上海娘が火花を散らすとき;若者たちの欲望の停車駅 ほか)
肖像(張可女史の長い物語;ウィーンのピック夫人 ほか)
著者等紹介
陳丹燕[チンタンエン]
1958年、北京生まれ。8歳のときに上海へ移る。中学生のときから創作を始め、雑誌に作品を発表。82年、華東師範大学中文系を卒業、雑誌編集者となる。84年から児童文学、青春文学作品を発表し、青春文学の第一世代作家となる。91年、『女中学生之死』(邦訳『ある15歳の死』)の出版を機に来日。初めて中国以外の世界に触れ、大いにひきつけられる。92年、ミュンヘン国際青少年図書館を訪問。このとき3カ月間、ヨーロッパに滞在し、見識をひろげる。96年、前年に発表した『九生』が、オーストリア国家青少年図書賞、ドイツ国家青少年図書賞銀賞、ドイツ青少年評議委員会の「金色の本の虫」賞を、翌97年にはドイツ外来文化図書1997年特別賞を受賞
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