内容説明
今は静かなたたずまいを見せる飛鳥の里だが、もっとも古い天皇の宮居が長い間、この地におかれていた。ところが、推古天皇の摂政を務めた聖徳太子は飛鳥ではなく、十六キロも離れた斑鳩の地に自らの住居と寺院(法隆寺)を造っている。どうしてなのか。また持統天皇の治世に、唐の長安を模してわが国初の条坊制の都・藤原京が造営された。だが、この新しい京はわずか十六年の短命で終わる。それはなぜか。本書は、推古朝から平安京に遷都するまでの二百年を扱っているが、その間、大和にあった三つの都における12の未解決の問題を独自の視点から解き明かした興味あふれる歴史紀行である。
目次
1 宮は天皇一代が原則だった飛鳥古京(聖徳太子はなぜ斑鳩に宮と寺を建てたのか;大化の改新でなぜ中大兄皇子は即位しなかったのか;飛鳥での新しい発見と、いまだに残る謎 ほか)
2 長安城とは設計理念を異にする藤原京(なぜ藤原宮が京の中心に造られたのか;白鳳時代の芸術作品ともいうべき藤原京;持統女帝と則天武后の不思議な暗合 ほか)
3 外京という特異な京域をもつ平城京(いかにして不比等は藤原氏繁栄の基礎を築いたのか;なぜ平城京に外京が造られたのか;奈良時代にはなぜ四代三人もの女帝が出現したのか ほか)
著者等紹介
寺沢龍[テラサワリュウ]
昭和10(1935)年、大阪市に生まれる。学生時代はよく古都の奈良や京都に出かけ、古代史にもふれていた。平成9年にサラリーマン勤めを定年退職し、まったく経験のない著述の仕事を始め、第一作の『薬師寺再興 白鳳伽藍に賭けた人々』(草思社)は多くの書評やテレビ・ラジオの新刊紹介の番組にも上げられた
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