内容説明
本書では、ハコベやオオバコ、スミレやタンポポなど、身近な50種類の雑草を取り上げて、その生き抜く力、子孫を残そうとするさまざまな知恵と工夫をユーモアあふれる筆致で描く。
目次
スミレ―野に咲く花のシティライフ
オオイヌノフグリ―キリストの奇跡が結実した後は?
ハコベ―七草ハコベの七つの秘密
ホトケノザ―口から生まれた世渡り上手
スズメノテッポウ―異能集団は逆境に強い
カラスノエンドウ―ビジネスライクが引き起こしたしっぺ返し
スギナ―地獄の底からよみがえった雑草
ナズナ―だらだらと生き残れ
タンポポ―ついに勃発したクローン戦争
ハルシオン―移住者の数奇な運命〔ほか〕
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年、静岡市生まれ。岡山大学農学部卒業。1993年、同大学大学院農学研究科修了。専攻は雑草生態学。同年、農林水産省に入るが、1995年にUターン。現在、静岡県農業試験場に勤務
三上修[ミカミオサム]
1954年、横浜市生まれ。1976年、多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。自然科学のイラストを得意とする。現在はフリーとして活躍
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パフちゃん@かのん変更
64
路傍600種と言われる雑草。なかでも身近な50種類をとりあげ、それぞれの雑草がいかに逞しくしたたかに生き抜いているか、熱くユーモラスな筆致で書かれている。これを読むと植物も頭脳や心を持っていて様々に知恵を絞って生きているように思われる。筆者の植物に対するなみなみならぬ愛情がうかがえる。殆どは名前と姿かたちは知っている植物でしたがこんなに深いことは知りませんでした。各章の最後の一文の落とし方も秀逸。2015/06/08
いちごプリン
7
面白いけど、図書館本なので、すべては読みきれなかった。2018/07/25
mikky32
4
散歩の道すがら、小さな花を見つけては名前を調べるのが最近の楽しみ。「雑草」なんてひとくくりにできない多様な世界がご近所に広がっていることに気がついて、この本を読んでみた。したたかに、力強く、逆境にめげるどころか利用して生きる姿に驚きの連続。いつのまにか自分と比較して反省したり尊敬したり。毎日見かける雑草が、顔見知りのように思えてくる。ちょっとオーバーだったりこじつけ的な展開でオチをつけているところもあるけれど、学ぶことの多い一冊だった。詳しい図鑑を横において読むとなお楽しい。2013/05/29
Wataru Hoshii
4
園芸植物を育てるのも好きなのだが、街路樹や公園の木を見分けたり、道端で小さな花をつけたりしている雑草を眺めるのも好きだ。雑草がタフな環境で生き残るためにとっている繁殖戦略を紹介する本。そのひとつひとつが驚くべきもので、雑草を見る目が一変することは必至。そしてこの人の文章はエッセーとして実に洒脱。導入からオチまでちゃんと考えていて楽しい。図もカラー図版だったらもちろんわかりやすかったのだろうが、そこをあえて細密なイラストにして、それがまだ素敵。ふりがなもふってあるので、小学校高学年からでも読めるかな。2013/04/04
ふう
3
ほとんど擬人化された雑草たち。愛情を持って接していらっしゃることが伝わってくる。2015/02/06