内容説明
だます画商に、だまされるコレクター。書画骨董の世界は偽物だらけ。贋作が横行する業界の内幕を暴くとともに、偽ガンダーラ仏事件など、これまでに起こった有名な贋作事件をとりあげて、その顛末を明らかにする。被害者はいても贋作の売買が刑事事件となることはまずない。この妙な、だが余りに人間的な悲喜劇を生々しく描いた好読み物!なお、偽物をつかまされたくなければ、無名であっても気に入った現存作家の作品を買い、その将来性に賭けるべきである、と著者は提言している。
目次
第1章 捏造された名品
第2章 大家の証明
第3章 贋作事件簿
第4章 美術市場の闇
第5章 コレクター修業
第6章 目利きの眼力
第7章 日本人と偽物文化
著者等紹介
大宮知信[オオミヤトモノブ]
1948年、茨城県生まれ。フリーランスのジャーナリストとして新聞、月刊誌などに寄稿。教育、文化、政治、社会問題と扱うテーマは幅広い
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感想・レビュー
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紅羽
7
図書館本。美術館の絵画等であっても本物である事は少ない。お宝の四割はガラクタであるという事実はびっくりでした。大抵美術館は全て本物だという先入観で見てますからね。他にも贋作に纏わる様々なエピソードや某テレビ番組の裏側等が興味深く描かれていて面白かったです。2015/09/06
舟華
2
日本での贋作事件を取り扱った本。いろんな本を読んで贋作が多いとは知っていたものの、世の中に出回っている贋作の割合が想像以上だった。特に雪舟。どうなっとんのっていうくらい。表紙から軽い読み物と思っていたらかなりしっかりぎっしりした本だった。いろいろな裏話のようなものもあって興味深く読めた。2025/01/12
紫
2
日本国内で起こった贋作事件の数々をレポート。「国立博物館のコレクションの三分の一は偽物だ」「雪舟の真作は一万点の中で四点か六点だけ」といった都市伝説が笑えなくなる贋作の横行ぶりの凄まじさ。天才贋作者が登場するような美術史上の大事件は少なく、なんでこんな手口に官公庁や新聞社がひっかかるの?といったちゃっちい事例が多くて、贋作の危険は身近にひそんでいるのであります。贋作ブローカーが警察に自首したら、被害届が出ていないから犯罪にならないと追い返されて、自殺した話がひどくて事実は小説よりも摩訶不思議。星4つ。2020/07/20
左近
0
様々な贋作事件を詳しく紹介し、贋作が後を絶たない背景や、骨董、美術界の姿を描き出す。あの『鑑定団』の裏側についても触れていたりする。いろいろなコレクターにもインタヴューし、贋作も含め、所蔵品などを実際にカラー写真で掲載。「いい仕事してますねえ」で有名な中島誠之助の本を読んだばかりだったので、そちらでぼかして書いてあったのは、これのことかな?などと想像するのも楽しかった。2013/01/15