地獄は克服できる

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  • サイズ B6判/ページ数 262p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794210258
  • NDC分類 944
  • Cコード C0098

内容説明

少年期から社会や人生に折り合いをつけることが苦手で、挫折を繰り返し、たびたび自殺願望やうつ状態にとらわれたヘッセが、心の苦しみからの脱出法を体験的に述べたエッセイ。ストレスに悩む現代人のための妙薬ともいえる書。

目次

ささやかな楽しみ
それを忘れるな(詩)
無為の技
美しい今日(詩)
眠られぬ夜
夢(詩)
精神の富
孤独な夜(詩)
断章1~4
夜の行進中に(詩)〔ほか〕

著者等紹介

ヘッセ,ヘルマン[Hesse,Hermann]
1877~1962年。ドイツ、ヴュルテンベルク州カルフに生まれる。詩人、作家。1946年、ノーベル文学賞受賞。代表作に『郷愁』『車輪の下』『デーミアン』『シッダールタ』『荒野の狼』『ガラス玉遊戯』などがある

ミヒェルス,フォルカー[Michels,Volker]
ドイツの出版社ズーアカンプ社の編集顧問。ヘッセの遺稿・書簡を整理し、テーマ別詩文集『人は成熟するにつれて若くなる』『庭仕事の愉しみ』などのシリーズを編集し、ヘッセ復権に貢献する
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

イプシロン

48
地獄、絶望、破滅といった言葉が頻繁にあらわれるのに、なぜか癒されてしまった。エッセイとそれに関連する詩の組み合わせが心地よかった。なるほど、文章で語るものをこうやって詩にするのかと勉強になった。ヘッセが最終的に哲学でなく、宗教的境地の道を選んだのは、やはり究極的には「信じるかどうか」という問題にぶつかったからなのだろう。しかし、宗教、哲学という言葉を避けるなら、ヘッセが歩んだのは「自然を信じる道」であり、あらゆるものは流転するという信念だと感じた。――諸行無常。生も死も、幸福も苦悩も、過程にすぎない。2019/12/17

ロビン

22
生来社会の中で生きていくことに苦痛を感じており、愛する自然と詩があってさえ「私の生活はしばしば地獄のようなもの」と話したヘッセの苦闘についてー重要なのは彼がその地獄を克服できるとしたことであろうーの詩やエッセイ、小説などを集めて編まれた本。ヘッセは自由を愛する生粋の「詩人」であり、実利を重視する社会と頑固なまでに相いれないその気質はどこかアメリカのH・D・ソローや日本の良寛を思わせる。 李白は「天、我が材を生ずる、必ず用あり」と言ったが、そんな自己を信じ自己を偽ることなく生きることの大切さと困難を想う。2021/04/12

抹茶モナカ

19
ヘッセの絶望感や、人生の地獄に関する記述を集めたアンソロジー。重たいし、暗い筆致が続く。自殺に関して、その可能性を考える事を「悪」としない境地に、なんとはなしに考えさせられた。直截的な書きぶりのところはストンと頭に入るけど、難解なところもあり、フンフンと頑張りつつ読んだ。思春期に『車輪の下』と『デミアン』を読んだきりとは言えない、好きな種類の作家にカテゴライズしていたのだけれど、思索的で、人生に絶望していた人なんだな、と、今回思った。詩を読むのは苦手なんだけど、ヘッセの詩は比較的わかりやすい。2020/02/29

ゆきえ

14
地獄を克服しようと思ったり、克服する手掛かりが得られるかもしれないと期待して読み始めたわけではない。ただヘッセだから読み始めただけ。読んでいるあいだ、励まされ、慰められ、叱られ、自分は卑劣な犯罪者だと自己嫌悪に陥り、いや、これでいいのだと思ったり…。あるがままの運命を受け入れること、苦しみの中に飛び込んでいくことによって苦しみを克服すること。それはとても難しく、恐ろしいことのように思える。でも、読み終えた今、もしかしたら、ほんとうに地獄は克服できるのかもしれないと思う自分がここにいる…。2013/12/13

蘭奢待

11
ヘルマン・ヘッセは強力な自殺願望を持っていたようだ。そして自殺者を賛美し、自殺希望者の背中をおす。当時のドイツはそれだけひどかったということか。様々な著作から切り出した断片で構成されており、詩文、エッセイ、箴言のような短文が中心。一貫して暗いトーンである。2018/07/17

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