内容説明
桶川ストーカー事件から栃木のリンチ殺人事件まで、相次ぐ警察の失態によって、何人もの死者が出てしまった。いずれも、警察の怠慢、住民の訴えへの無関心が原因だ。「キャリアの経歴にキズをつけてはいけない」という恐るべき独善的な論理、現場感覚を無視した官僚主義など、元警察庁巡査部長が事件の背後にある堕落の構造を解明する。
目次
第1部 警察不祥事の裏側―現場踏査で判明した捜査の失態(栃木リンチ殺人事件―栃木県警はなぜ、リンチ恐喝を放置していたのか;桶川ストーカー殺人事件―埼玉県警はなぜ、主犯を野放しにしたのか;京都小学生殺人事件―京都府警はなぜ、容疑者をその場で拘束しなかったのか;バスジャック事件―山口県警はなぜ、バスを先送りにしたのか ほか)
第2部 堕落の構造を解き明かす(私が警察官を辞めたわけ―もうこんな組織とはおさらばだ;恐るべきキャリア制度の実態―洗脳と服従がつくりあげた独裁体制;警察学校での洗脳教育―ロボット警察官はどのようにつくられるか;昇任試験制度のカラクリ―実務能力主義を標榜する警察の大ウソ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
133
著者は41歳に警察官を退官。その1年半後2000年に出版された告発本。99年の栃木リンチ殺人事件、桶川ストーカー殺人事件、京都小学生殺人事件、00年のバスジャック事件、名古屋五千万円恐喝事件、長野警察官拳銃不正使用事件のそれぞれに警察の捜査不備などを指摘。後半、自身の退官に至った小型船舶サークル結成への内規違反や服務規定違反の嫌疑からその顛末までを紹介。そして警察人事体系を解説し、任用経路の違い、学歴の違いによる昇進制度などを問題視。批判のみや主観的考察であまり説得されず。ただ横山小説との酷似を感じた。2021/11/10
ochatomo
4
組織防衛第一をたたきこまれる一般警察官は監視されて身分不安定 著者は1999年まで23年間奉職し上司とトラブル原因で退職、ジャーナリストとして活動中2010年死亡 2000刊2018/06/10
だい
3
面白かった。黒木さんは好きなジャーナリストの一人、彼が自分の命を懸けてまで書こうとした、言いたかった事が凝縮されていると思う。もはや、警察も普通の人が普通に経営する会社のようなもの、その上にごちゃごちゃと洗脳教育され、読んでいるうちに嫌になってきた。「お巡りさんは強くて逞しくて、みんなを守ってくれる。」っていう、昔のイメージが懐かしく思い出される。2014/06/07
あずさ
3
読みごたえがあって面白かった。後半漢字ばっかりでちょっと読むの嫌になったけど、警察官には耳の痛い話なんだろうな。謎な部分が多い警察の、本質を書いた本。2013/12/12
まーしゃる
2
謎の死を遂げた元警察官の黒木氏が暴く警察組織の闇。非常に興味深い内容だった2012/03/05