内容説明
共に過ごす相手がほしくて15人もの男を殺したデニス・ニルセン。その心の闇を描きつくし、最高傑作とうたわれた衝撃作。
目次
第1章 逮捕
第2章 血脈
第3章 少年時代
第4章 軍隊生活
第5章 警官から公務員へ
第6章 犠牲者たち
第7章 処理
第8章 再拘留
第9章 公判
第10章 解答
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めがねまる
21
1983年2月9日、15人の男を殺害した男が逮捕された。これはその犯人デニス・ニルセンの犯行を、幼少期、軍隊時代、公務員時代と辿り本人の膨大な手記と著者の綿密な取材、公判記録を基にして書かれたノンフィクションだ。第10章"解答"の冒頭に「具合よくまとまった結論に達することもないまま、あとどれだけ言葉を重ねなければならないのか」とある通り、どうしてもすっきりした結論に達することなど出来ないが、著者の事件を理解しようとする執念が感じられる。各章の長さがほぼ均等で、難解な内容だがわかりやすい言葉で書かれている。2015/10/07
yashico
15
連続殺人犯デニス・ニルセン。誕生以前の民族内で続く近親間の結婚の話(精神異常など)、民族特有の気質から触れられ語られていく1人の男の人生。共に過ごす相手を求め失う事を恐れ数年で15人を殺害。「孤独とはいつまでも続く耐え難い痛みである」。事の発端はデニスがバラバラにしてトイレから流した死体がアパートの下水で詰まった事から公となるという、ちょっとドジな逮捕から始まる。精神の複雑さもさる事ながら、精神医学~宗教などで考察され興味深くジックリ読んだ。デニス・ニルセン2018年5月12日72歳で獄中にて永眠。2019/07/17
ハニバニ
2
知人に薦められて読みました。デニス・ニルセンの実際の事件は全く知らなかったのだけど、4、5年の間に15人もの男性を殺害し、遺棄して気づかれなかったという恐るべき事件。周囲に人気が十分あるところに住んでいても、そういうこともあるのだなあ…。たんたんと記述されるおぞましい描写にゾっとするけど、本当に常軌を逸している人物というのはこういう風に自分のやったことを客観視して冷静なものなのかもなあ。事実は小説より恐ろしい。2015/12/11
おにぎり
2
犯行内容より、ニルセン本人が獄中で語った『(私に殺された人は)私の事を許してくれる気がする』という言葉に現れるような他者不在っぷりにぞぞぞ。いやいや貴方に殺された人は当然のように怒ってると思いますよニルセンさんっていう(この自己愛故の他者への想像力の歪み方がなんかいかにも人殺しという感じでおぞましい)。しかし自宅トイレに解体後の人肉片流すって、それ絶対下水道詰まるだろ証拠隠滅する気ないだろ。十人ぐらい殺してる内にもう疲れ切って捕まりたくなってきちゃったのかな……とか粗末な逮捕理由を見てそんな事を思ったり。2013/01/22
ゆきゆき
1
英国のシリアルキラー、デニス・ニルセンに関するノンフィクション本。生い立ちから犯行手口、逮捕から裁判までを辿る。彼の内面は複雑。表向きは真面目な公務員であり、音楽を嗜み、面倒見の良い親切な隣人。しかしその手で次々と行きずり男たちを殺す。表の部分だけを見ればわりと魅力的な人物にも思える。殺害に至る動機も自分勝手だが彼なりに筋が通っているようにも思える。もちろん理解はできないししたいと思わない。知れば知るほど底の知れない人間であることだけが分かった。2022/01/24
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- 和書
- 泳ぎません。 MF文庫J