内容説明
昭和13年(1938年)、中川村開拓団は先遣隊34名が満洲国樺川県小八浪に入植した。加藤完治の農本思想に鼓吹された団長、一旗上げようとする団員たちやその家族たち。かれらのゆくてに待ち受けていたものはなにか。残留孤児問題まで尾をひく悲劇の歴史はここに幕を開けた。在籍者606名のうち、303名が中国で死亡、残留者や生死不明の者29名、現在までに帰国できた者274名である。苦難に満ちた開拓団の顛末を詳細に描く。
目次
序章 歳月
第1章 分村計画
第2章 隣人の大地
第3章 模範開拓団
第4章 苦力という名の隣人
第5章 王道楽土
第6章 暗雲
第7章 逃避行の果てに
終章 体験の風化