内容説明
昭和23年から昭和34年まで、警視庁から進駐米軍への協力というかたちで、英語のできる警察官が三十名ほど出向していた。かれらは終戦直後、米軍関係者の治安を提当していた米軍MP(ミリタリー・ポリス=陸軍憲兵)のジープに同乗して、都内をパトロールし、日本人と米軍関係者のかかわる事件を間にたって通訳、調整するのが任務だった。当時、オフリミットの米軍施設に出入りできた著者が、日本人には知らされなかったオキュパイド・トウキョウの真実の姿を回想と写真で再現する。これは、もうひとつの昭和二、三十年代東京世相史である。
目次
第1章 焼跡に立つ警察官
第2章 ジープで占領下の東京を走る―第一次MP同乗勤務
第3章 アメリカと日本のあいだで―第二次MP同乗勤務
第4章 不思議な時代だったあのころ
第5章 街娼取締りから脱走兵の逮捕まで
第6章 MPライダーの終わりとひとつの時代の終わり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sheemer
15
長らく積読していた本を流し読みした。1994年に書かれた本書は、それより50年前、終戦直後に進駐軍と行動を共にした日本の警察のMPライダーによる当時の世相を描いた本である。内容は生々しくリアルだ。実際の警備の話、一般の婦女子を米兵の性被害から守るために創設されたRAAによる米兵向けの慰安施設の設置と、性病蔓延によるその廃止と街娼化など、当時を知る人間でないと書けないリアルが記述されている。写真も当時を彷彿させるものが数多く収載されている。当時を知るには貴重な一冊。2023/12/26
維新の里の油搾り係
0
「米兵はよく川の中に日本人を投げ込んだ」アメリカにはそういう文化があるんやろか?なお投げ込まれた者は溺死し犯人は捕まらない模様2022/08/14
mn
0
焼け野原となった東京で、MPのジープに同乗していた若き警察官の記録。こんな戦後を始めて読んだ!好奇心にあふれる元気一杯の若者だった筆者の素直な文章を楽しめる。2020/07/12