内容説明
町こわしが進む京都にも、古き町並みとよき暮らしを守ろうとする人々はまだまだ多い。地縁と人の縁に恵まれた京都に生を享け、暮らすよろこびを、亡き父の思い出とともに描いた京都讃歌。
目次
祇園祭のこと(祇園祭宵山の不思議な魅力;ぎらぎらの太陽のもと息を呑む辻まわし;あやうさと希望とがせめぎあう祇園祭)
京に暮らすよろこび(なくなってしまった祇園石段下の八百文;清潔な心店、漬物店の竹田;父が愛でたお茶―三木蓬莱堂と竹村玉翠園のこと;多様な京菓子の世界―鼓月と女あるじの心意気;川端道喜のちまきと越後屋のカステラ;花遊小路のなつかしい写真店ワンダス館;私の好きな老舗―菊光堂、ぎぼし、近又;表装、篆刻、美術出版―活躍する教え子たち;観世流の浦田師について謡曲のおけいこ;扇骨師の荒谷祝三さんと染師の池田利夫さん;京都の町百万遍、パンの進々堂とわが青春の日々;百万遍の柏軒、ハーモニ、西むら、いまがわのこと;コントワール、そしてフラメンコのひびき;北野、松ケ崎から鞍馬かいわい;京の長屋の暮らしと路地の思想;百足屋町の住人の鮮やかな暮らしぶり)