内容説明
收漁丸は九トン、カツオ曳繩船。船頭の小川收は親子三代の紀州漁師。乗組員は女房の貞子とふたり。ふたりは一年の大半を黒潮にカツオをいただく夫婦漁師である。例年二月、「きばってきいや」という祖父に留守居を頼んで、大安の日に海山の母港を出帆。およそ三百日のあいだ、船を住居に、静岡、神奈川、八丈、千葉、福島、宮城の浦々を転戦する。この本はその間、收漁丸に同乗して漁師と起居をともにし、旅船という名の沿岸漁民の哀歓をつぶさにルポした出色の読みものである。
目次
夫婦船(めおとぶね)
翻車魚(マンボウ)
僚船(かたふね)
家船(えぶね)
借家のイカ漁
紅葉ガツオ
紀州船団、対馬へ
北西の風(アナジ)