内容説明
漱石の「虞美人草」は、はたして漱石がいうように酒井抱一描くところのヒナゲシなのか。源実朝がイチョウのかげから躍り出てきた甥の公暁に殺されたというのは本当だろうか。江戸時代の中ごろに渡来したサツマイモのエネルギーが明治維新をもたらしたのではないか。花札に描かれたモミジとシカの取り合わせは、はたしてふさわしいのか…。人々が草や木とつきあってきた長い軌跡をたどりながら、意外な真実を掘り起こす著者一流の植物文化史、全20話。
目次
カタクリは江戸で消えたこと
スミレの花咲くころのこと
ナズナを平安の公卿が食べたこと
アブラナの春は消えゆくこと
タンポポは室町から描かれたこと
マグノリアと昆虫とのつきあいのこと
ツバキの流れ旅のこと
バラ香水のアラビアに生まれること
ヒナゲシは虞美人の血に咲かぬこと
マツヨイグサが富士に登ること
カラスウリの夕に咲くからくりのこと
ホタルブクロで子供の遊ぶこと
クルミを宮沢賢治がみつけること
イチョウの下で実朝は殺されぬこと
吉野葛の由来をたずねること
サツマイモが討幕のエネルギーになること
ススキは武蔵野の象徴であったこと
モミジとシカの因縁のこと
クロモジは女房のことばより生まれること
クヌギの道はヒマラヤに至ること
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