内容説明
昭和11年1月15日の白昼、東京巣鴨で銀行員の若妻が自宅で暴行殺害された。第1発見者である夫、山根一郎が逮捕され犯行を自供したが、のちに自供は拷問によるものと無実を主張。裁判は無罪・有罪を転々して難航の末、14年4月、懲役7年の刑が確定した。事件そのものは平凡だが、決め手となる証拠がなく、昭和戦前の最大の難事件の一つとされている。果たして夫の銀行員が真の犯人なのか。著者は厖大な一件書類をもとに事件の全容を手際よくまとめるとともに、独自に得た情報によって、この藪の中のような事件の真相に迫っている。
目次
第1部 捜査(妻が冷たく…;物取りのしわざか;夫への疑惑;翻る自供;裏を取れ;全面自供)
第2部 予審(真実を述べても通らぬから;首を紋めて関係すると;わたしはやっていない)
第3部 裁判(一審無罪;逆転判決;懲役7年)