料理の消えた台所

料理の消えた台所

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  • サイズ B6判/ページ数 245p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794202420
  • NDC分類 596.04

内容説明

家庭の台所から手づくり料理が消え、伝承の味がすたれる一方で、工場製味覚が中心のファミリーレストランがおおはやり。日本人の味覚は衰弱しつつあるのだろうか。それとも新しい食卓の伝統が生まれつつあるのか。飢餓からの脱出にはじまった戦後の学校給食が現代の食生活をかえた、と指摘する著者が、学校給食の弊害をはじめ、高度経済成長に伴うさまざまな食生活の変化をユニークな目で捉えた現代食文化論。

目次

第1章 伝承の味はなぜ衰弱したか(主婦はなぜ子どもの弁当をつくらなくなったか;給食とファミリーレストランは同一レベルの食文化;子どもにほっかほっか弁当を与える主婦たち;女子学生のみた「わが家の食卓」;「伝承の味」は質素でつましかった;魚肉ソーセージと学校給食が現代の食文化をかえた;日清戦争と第2次大戦の好景気で躍進したパン業界;その場で焼いて売るインストア・ベーカリーがパンの人気を高めた;家庭の貧しい食生活で伝統は培われない)
第2章 ファミリーレストランはなぜはやるのか(子どもたちの目に残パンの山をさらしていいのか;全国チェーンのラーメン店がうんだ「中華料理症候群」;料理の産業化を果した郊外型ファミリーレストラン;調理士の腕を不要にしたセントラルキチン;簡略調理法の「けれん仕事」は江戸時代からあった;「仕掛」で中流意識を満たすファミリーレストラン;機能していない栄養士の役割;残飯の栄養量を計算できない栄養学;女房を外食へ連れていけば料理が上手になるか;栄養だけで料理をつくる時代は終った)
第3章 日本人の味覚は衰えつつあるのか(昭和30年代以降のエンゲル係数の低下が物語るもの;熟練の料理人が疎外される時代がきた;食生活の多様化とほど遠い家庭の台所;一般の家庭に伝統的な食生活はなかった;料理技術の貧しさを補う加工食品;戦後食生活史第1期―飢餓からの脱出;戦後食生活史第2期―インスタント食品の登場;戦後食生活史第3期―外食産業時代;常識をくつがえしたクックレストランの繁栄;合理化の名のもとに無駄を生産するセンター給食;家庭の食生活の貧しさが外食産業の発展を支えた;やがて現れる手づくりの味を拒否する世代;日本人の味覚は工場製の味に満足しつづけるか;もはや社会的役割を終えた学校給食)