内容説明
表見代理制度、ひいては代理制度で設計された「代理制度の社会的信用を維持するための、取引相手方の信頼保護」とは一体どのようなものなのか、その制度設計では、表見代理の法的構成・法的根拠、とくに本人の帰責根拠はどのように説明されるのだろうか、民法上の基本原理・原則(とくに私的自治の原則や過失責任主義)や他の信頼保護諸制度(とくに意思表示・法律行為法の信頼保護規定)との関係はどのようになっているのだろうか。戦後ドイツの、表見代理の法的構成・法的根拠、とくに本人の帰責根拠をめぐる議論は、さきの疑問に応えて、我が国の解釈論にとっても手がかりになりそうな、新たな視点まで与えてくれるものであった。この大学院時代から今日までの、戦後ドイツの表見代理法理に関する研究を、まとめたのが、本書である。
目次
第1部 表見代理総論(表見代理の法的構成・法的根拠に関する理論状況(判例の発展;学説の展開)
表見代理有権代理説の可能性・有用性(フルーメ以降の有権代理説の展開;有権代理説の評価 ほか))
第2部 表見代理各論(代理権授与の錯誤取消しにおける取引保護の在り方(代理権授与の錯誤取消しについて;表見代理の錯誤取消可能性について ほか)
表見代理と無権代理人の責任との競合(学説および判例における理論の展開;近時の学説))
著者等紹介
臼井豊[ウスイユタカ]
1970年奈良県生駒市で生まれる。1992年同志社大学法学部法律学科中退(3年生終了での大学院進学)。1994年同志社大学大学院法学研究科私法学専攻博士課程前期課程修了(法学修士)。1998年同志社大学大学院法学研究科私法学専攻博士課程後期課程単位取得退学。1998年名古屋学院大学経済学部専任講師。2000年愛知学院大学法学部専任講師。現職は愛知学院大学法学部法律学科助教授
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