内容説明
本書は、近代日本において都市災害における賃借人がどのような位置づけを与えられてきたかを明らかにするため、この問題の原点である関東大震災後とそこでの旧臨時処理法の成立から検討を始めた。とりわけ、災害前の権利の復興の重要性を指摘した末弘厳太郎の見解を検討し、当時の国策諮問機関であった帝国経済会議において末弘が主導して旧臨時処理法の要綱を策定し、そこで優先借家権が生まれたことを明らかにした。罹災法そのものについては、当時の司法省による議会質疑応答資料を元にその立法趣旨を明らかにした。
目次
第1章 旧臨時処理法(旧臨時処理法の時代背景;旧臨時処理法)
第2章 罹災法(罹災法の成立と展開;罹災法の再検討)
著者等紹介
小柳春一郎[コヤナギシュンイチロウ]
昭和29(1954)年生まれ。昭和51(1976)年東京大学法学部卒業。昭和57(1982)年東京大学大学院法学政治学研究科単位取得退学。現在、独協大学法学部教授
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