内容説明
本書は、誤想防衛に代表される「違法(性)阻却事由の事実的前提に関する錯誤」を「正当化事情の錯誤」として捉え、新たな観点からその法的取り扱いの理論的基礎づけを試みたものであり、その意味において、もう一つの誤想防衛論という性格を有する。
目次
序章 正当化事情の錯誤の取り扱いと本書の基本的立場
第1章 正当化事情の錯誤をめぐる問題状況
第2章 構成要件的事実の錯誤と違法性の錯誤(禁止の錯誤)との限界
第3章 正当化事情の錯誤における故意不法と過失不法
第4章 正当化事情の錯誤と主観的正当化要素としての「義務にしたがった検討」―レンクナーの所説の検討を中心に
第5章 消極的構成要件要素の理論の批判的検討―構成要件と違法・責任との関係を中心に
第6章 独自の錯誤説とその検討
第7章 正当化事情の消極的錯誤
第8章 正当化事情の錯誤の限界
終章 総括と課題