内容説明
12世紀イングランド国王に仕えた司祭がアイルランドの土地を歩き、ケルトの風習を蒐集した。ストーンヘンジの起源、海洋から生まれる鳥類、人語を話す狼…等々、驚異的な自然・不思議な事物・習俗の諸層を、才能きらめく筆致で描きだした、ヨーロッパ精神の古層世界。ラテン語から本邦初訳。
目次
第1部 アイルランドの自然に関する記述が始まる(アイルランドの位置その自然の多様性;ヒスパニア海が2本の分枝でブリタニアとアイルランドを囲んでいること;ソリヌス、オロシウス、イシドルスのさまざまな見解 正しいこともあれば誤りもあること ほか)
第2部 驚異と奇蹟に関する記述が始まる(アイルランド海はひじょうに波が高いこと多様なその満干;アイルランドとブリタニアでは海の流れが逆であること;月が液体を、また体液を動かすこと ほか)
第3部 この地の住人に関する記述が始まる(最初の到来大洪水の前、ノアの孫娘カエサラによるもの;第2の到来すなわち大洪水から300年後のバルソラヌス(パルタロン)によるもの
第3の到来スキティアからの、ネメドゥスと4人の子によるもの ほか)
感想・レビュー
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Koning
21
ウェールズのジェラルドによるTopographia Hibernicaの和訳。これ和訳でてたんだね(汗。で、「西洋中世綺譚集成」というシリーズで出ている通りかなりファンタジーなアイルランド。ジェラルドがそもそもウェールズの人でノルマン貴族の血筋というのもあってアイルランドとは相性が悪いんだけど、それにしてもまーよくこんだけディスるネタ集めたねというのも出てきます。2015/01/14
maimai
8
キアラン・カーソン『琥珀捕り』の流れで。作中で言及されていたギラルドゥス・カンブレンシス(ウェールズのジェラルド)の『アイルランド地誌』の邦訳が出版されているのを知って、早速読んでみた。ヨーロッパの深層意識のようなものを垣間見る思いで、興味深いところが多いが、なかなか興味を持ちにくいところも少し。彼我の違いのようなものを感じる。2021/07/31
よしださいめい
1
アイルランドに伝わる不思議なお話をまとめている。 いろいろ興味深い記述有り。 もちろん、古代の人が記述しているため、先入観もろもろあるが、やはり、「アイルランドの音楽性は優れている」という点が目を引く。2013/06/02