出版社内容情報
「時間」を鍵にその特異な思想の展開をたどる
その特異な思考を一貫して駆動していたのは「時間」というモチーフだった――。客観的な時間でも、目的論的な時間でもない、他者と応答する私の唯一性を成り立たせるような時間のあり方に目を凝らしつづけた哲学者の姿を、鮮やかに浮かび上がらせる。
【目次】
内容説明
「時間」を鍵にその思考の展開をたどる清新な試み。「私の主要な研究テーマは、時間の観念の脱形式化です」―晩年のレヴィナスの発言を手がかりに、具体的な生のなかに息づく時間を捉え、〈私〉や〈他者〉の唯一性を擁護しつづけた哲学者の特異な思考を鮮やかに描き切る。新鋭による意欲作。
目次
第1部 前期レヴィナスによる時間への問い(レヴィナスと現象学;『実存から実存者へ』におけるメシア的時間;『時間と他なるもの』における死とエロス;「現実とその影」における「作品」の時間)
第2部 『全体性と無限』の時間論解釈(現在と主体;倫理的関係における順序と時間;エロスと繁殖性)
第3部 後期時間論の生成と展開(原印象と遅れ;証言と書物)
第4部 時間の脱形式化(持続の重みから隔時性へ;ローゼンツヴァイクの遺産)
結論
著者等紹介
石井雅巳[イシイマサミ]
1990年、神奈川県横浜市生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(哲学)。現在、山口大学教育学部講師。専門は西洋現代哲学と近代日本哲学史。2021年に論文「レヴィナスにおける反‐歴史論の展開と変遷」(『倫理学年報』第70集)で日本倫理学会和辻賞(論文部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。