出版社内容情報
〈統治されざるもの〉のために
20世紀を代表する哲学者たちは、アナーキーという概念をめぐってそれぞれに独自の思考を彫琢してきた。そこにはアナキズムの伝統からの影響があったにもかかわらず、彼らが自らをアナキストと認めることは決してなかった。マラブーに言わせれば、それは、哲学の側がアナキズムの思想に対して「盗み」を働いたということなのだ--。シュールマン、レヴィナス、デリダ、フーコー、アガンベン、ランシエールらのテクストの批判的な読解を通して〈統治されざるもの〉という概念を剔出し、哲学とアナキズムの果たされざる架橋を試みる、マラブー哲学の新たな到達点。
内容説明
シュールマン、レヴィナス、デリダ、フーコー、アガンベン、ランシエールら、現代の哲学者たちの仕事をアナーキーという切り口から批判的に読み解き、“統治されざるもの”という概念を浮き彫りにする。哲学の側がアナキズムに対して働いてきた「盗み」を告発し、哲学とアナキズムの果たされざる架橋を試みる、マラブー哲学の新たな到達点。
目次
第1章 概観―水平線の測量
第2章 アナーキーとアナキズムの切り離しについて
第3章 合唱隊の長たちの徳―アリストテレス『政治学』におけるアルケーとアナーキー
第4章 存在論的アナーキー―ライナー・シュールマンの旅、ギリシアからアンデスへ
第5章 倫理的アナーキー―エマニュエル・レヴィナスにおける他律
第6章 「責任ある=応答可能なアナキズム」―ジャック・デリダの権力欲動
第7章 アナルケオロジー―ミシェル・フーコー、最後の統治
第8章 〓神するアナーキー―ジョルジョ・アガンベンのゾーン
第9章 上演されるアナーキー―証言者なきジャック・ランシエール
結論 アナキストであること
著者等紹介
マラブー,カトリーヌ[マラブー,カトリーヌ] [Malabou,Catherine]
1959年、アルジェリア生まれ。現在、イギリス・キングストン大学教授。専門はドイツ・フランス近現代哲学
伊藤潤一郎[イトウジュンイチロウ]
1989年生まれ。早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、新潟県立大学国際地域学部講師。専門はフランス哲学
吉松覚[ヨシマツサトル]
1987年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。現在、帝京大学外国語学部講師。専門はフランス現代哲学
横田祐美子[ヨコタユミコ]
1987年生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、横浜美術大学美術学部助教。専門は現代フランス哲学ならびにエクリチュール・フェミニン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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