出版社内容情報
イスラエルの国家/国民の創設を問う。
近代の国民国家思想・ナショナリズムに起因する「ユダヤ人」問題、シオニズム、そしてイスラエル国家について。矛盾する理念に思想はなにを問い、なにを問わずにきたのか。ネイションの世界的展開を再考する、かつてないユダヤ‐イスラエル論。
内容説明
近代の国民国家思想・ナショナリズムに起因する「ユダヤ人」問題、シオニズム、そしてイスラエル国家について。矛盾する理念に思想はなにを問い、なにを問わずにきたのか。ネイションの世界的展開を再考する、かつてないユダヤ‐イスラエル論。
目次
「偽日本人」と「偽ユダヤ人」―あるいは「本来的国民」の作り方
1 「イスラエル」の原点―普遍性と特異性のアポリア(ユダヤ人国家か国民国家か―二つの独立宣言;ユダヤ人国家か二民族共存か―歴史としてのバイナショナリズムの挑戦;マルティン・ブーバーの共同体論と国家;ハンナ・アーレントと国家創設のプロジェクト)
2 「イスラエル」の現在―リベラリストたちの葛藤(ハンナ・アーレントの「沈黙」;ジュディス・バトラーの「躊躇」;アイザイア・バーリンの「矛盾」;エドワード・サイードの「格闘」)
イスラエル/パレスチナにおける国家理念の行方
著者等紹介
早尾貴紀[ハヤオタカノリ]
1973年生まれ。東京経済大学教授。専攻は社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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livre_film2020
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ユダヤ人悲願の「約束の地」がイスラエルであり、建国のために先住民のパレスチナ人が虐げられている。これが私の認識であり、じっさい早尾先生もその認識のようだ。だが、本書を読めば早尾先生のパレスチナ問題に対する解像度が格段に高いことが分かる。本書は「国民とは何か」という問題意識をもとに描かれている。つまり、イスラエルを特例として扱うのではなく、あくまでも近代的な帝国主義国家の一例としてイスラエルを取り扱う。本書で言及はされていなかったが、アンダーソンの『想像の共同体』を読んでおくと理解の一助になりそうだ。2023/10/27