出版社内容情報
生きるために、捕って、殺して、わたしたちは食べる。
食べるために、作物を栽培し、家畜を飼育し、人を奴隷にする。〈食べるひと〉ははてしない謎を抱いている。誰ものぞこうとしなかった意識の森深くへと、異端の民俗学者が下りてゆく。物語を食べ散らかすような、不遜にしてスリリングな旅。
内容説明
生きるために、捕って、殺して、わたしたちは食べる。食べるために、作物を栽培し、家畜を飼育し、人を奴隷にする。“食べるひと”ははてしない謎を抱いている。誰ものぞこうとしなかった意識の森深くへと、異端の民俗学者が下りてゆく。物語を食べ散らかすような、不遜にしてスリリングな旅。
目次
第1章(胃の腑と詩と官能のあいだ;憑依と観想から擬人法へ ほか)
第2章(奴隷農場は愛とともに昏れて;猿の惑星からの伝言 ほか)
第3章(自己家畜化と道徳の発生;奴隷化、いじめの政治学へ ほか)
第4章(フォアグラ的な肥満のはてに;臓器提供者のいまわの恋 ほか)
第5章(二本足の豚たちが動物農場をゆく;豚は知性的な生き物である ほか)
終章(奴婢訓の裂け目に)
著者等紹介
赤坂憲雄[アカサカノリオ]
1953年、東京生まれ。学習院大学教授。専攻は民俗学・日本文化論。『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taku
13
刺激がありそうだ。不快になる話題もあるだろう。現代の奴隷制や人間の自己家畜化にも触れているかな。そんなことを思いながら読んでみると、主にタイトルのテーマを持つ書物、物語、映画、漫画をあげて論考しているため、思いのほか馴染みやすかった。もう少し現実例から論じてくれると、より充実したようにも思えたけど、期待した通り刺激のある本だった。/ 感想下書データが失われてしまって…書き直しはこれで精いっぱい。 2024/12/26
etoman
3
1冊の本を基に、「家畜」や「奴隷」をキーワードにして次から次へて縦横無尽に関連した本の感想と考えが語られていく。自分がエッセイを書くのなら、こういう書き方をしてみたいと思わせてくれた1冊だった。2023/09/01
takao
2
ふむ2024/06/15
hiro6636
1
生きるために捕って、殺して、わたしたちは食べる。 主従関係、人間と家畜の間に横たわる搾取と愛と呼ぶものへの考察。2024/10/25
まさる
1
タイトルが気になり、手に取った。アメリカ南部の奴隷制度、偏見やその扱いは読んでいて気分の悪くなるものだった。第三章「奴隷化、いじめの政治学」は勉強になった。孤立化、無力化、透明化。ロボットの語源がチェコ語の賦役を意味するrobotat、ロシア語の労働を意味するラボータから来ている(p193)。フォアグラの残酷な生産方法(p212)、中国での臓器売買の現実(p224)、「三匹の子ブタ」のはなし。難解な内容も多かったが、興味深く読むことができた。2023/06/30