出版社内容情報
言葉は穴だらけだ
「日本語でも他の言葉でも、外から眺めてみると欠けている単語がたくさんあって、どうしてこんな穴あきチーズを使ってものを書くことができるのだろうと不思議になる。」日本とドイツで、日本語でもドイツ語でもない、独自の言葉の実践を続ける多和田葉子の思索の軌跡を集成。著者初のエッセイ集。
内容説明
言葉は穴だらけだ。日本語でも他の言葉でも、外から眺めてみると、欠けている単語がたくさんあって、どうして、こんな穴あきチーズを使ってものを書くことができるのだろうと不思議になる。
目次
1 遊園地は嘘つきの天国(すべって、ころんで、かかとがとれた;病院という異国への旅;「犬婿入り」について;翻訳という熱帯旅行;失われた原稿;〈生い立ち〉という虚構;ドイツで書く嬉しさ;シャミッソー賞を受賞してみて;吹き寄せられたページたち;樹木・電流・プラスチック;「ふと」と「思わず」;ゆずる物腰ものほしげ;懐かしいかもしれない;アメリカの印象;通信手段;遊園地は嘘つきの天国)
2 衣服としての日本語(記憶の中の本;刻み込まれていく文章;言葉のたけくらべ;舞台のある小説;人形の死体/身体/神道;罫線という私;衣服としての日本語;異界の目)
3 線は具象 具象は線(「外国語文学」の時代;ジークリット・ヴァイゲルの「性の地形学」について;翻訳者の門―ツェランが日本語を読む時;ラビと二十七個の点;ハムレットマシーンからハムレットへ;身体・声・仮面―ハイナー・ミュラーの演劇と能の間の呼応;迷いの踊り―ノイマイヤーの「ハムレット」;聴覚と視覚の間の溝を覗く―朗読とダンスの共演「風の中の卵のように」;「新ドイツ零年」と引用の切り口;筆の跡;線は具象 具象は線;花言葉;二〇四五年)
著者等紹介
多和田葉子[タワダヨウコ]
1960年東京生まれ。1982年にハンブルグに移住、2006年よりベルリン在住。『かかとを失くして』で群像新人文学賞、『犬婿入り』で芥川賞、『ヒナギクのお茶の場合』で泉鏡花文学賞、『球形時間』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、『容疑者の夜行列車』で伊藤整文学賞・谷崎潤一郎賞、『尼僧とキューピッドの弓』で紫式部文学賞、『雪の練習生』で野間文芸賞など、受賞多数。ドイツ語と日本語で精力的に作品を書き続ける。1996年にはドイツ語での作家活動によりシャミッソー文学賞受賞。2018年『献灯使』で全米図書賞(翻訳文学部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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