出版社内容情報
「意識」と「私」の謎
20年にわたって意識研究のパイオニアであり続ける著者は、主観的な体験である内的世界が、脳や体で実行される生物学的・物理学的プロセスとどのように関連しているのか、また、その観点からどのような説明ができるのかを述べる。そして、私たちは世界を客観的に認識しているのではなく、むしろ予測機械であり、常に自分の世界を脳内で創造し、マイクロ秒単位で間違いを修正して、自分が自分である(being you)という感覚を生み出していると主張する。最新の神経科学的な知見をもとに気鋭が迫る「意識」と「私」の謎。
内容説明
リアルプロブレムからハードプロブレムへ。自由意志、ベイズ推定、IIT、自由エネルギー原理…古典的なトピックから最先端の仮説までさまざまな研究成果をもとに、神経科学の第一人者が意識の謎に迫り、驚愕の理論を提示する注目の書。
目次
第1部 レベル(リアルプロブレム;意識を測る ほか)
第2部 内容(逆向きの知覚;オッズの魔法使い ほか)
第3部 セルフ(せん妄;自分自身を予期する ほか)
第4部 他者(人間を超えて;機械の心)
著者等紹介
セス,アニル[セス,アニル] [Seth,Anil]
神経科学者。サセックス大学サックラー意識研究センター共同ディレクター、認知神経科学教授
岸本寛史[キシモトノリフミ]
1991年京都大学医学部卒業。現在静岡県立総合病院緩和医療科部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
特盛
32
評価3.8/5。本書の主張はこうだ。「意識とは制御された幻覚である。我々は外→内の処理結果として世界を認識しているのではなく、内で構築されたモデルを知覚で検証して存在している。自己の認識もそうである。我々という意識は、生の恒常性を目的として、内部の情報受容をベースに作られた一つの幻覚である。」統合情報理論や自由エネルギー原理、タコの心身問題などテーマは近年の面白い脳トピックも網羅的に紹介される。意識を現象的に捉えることでハードプロブレムを回避して説明しようという、非常に読み応えのある作品だ。2024/08/20
izw
10
AIが進化してAGIが実現するときには意識をもつとか、生成AIが意識をもつかという議論をしてきたが、意識と知性は分離可能で、意識は生きることに関係しているという考えにハッとした。脳は外界から入ってくる情報を分析して統合して知覚するのではなく、脳は予測機械であり、外界をトップダウンに能動的に予測し、その予測誤差を最小化するプロセスが知覚である。外界に対する知覚は制御された幻覚であるばかりでなく、自己も内的な知覚であり、自己の統一性も制御された幻覚であると主張している。これまでの常識が覆り新鮮だった。2025/01/17
mim42
10
動物機械論(私たちが世界や自分について意識的な経験をするのは、体を通して体がある故起こる)の提唱。知覚内容とはトップダウンの予測であり制御された幻覚との主張。予測は未来のためだけでは無い。ハードプロブレムは問題の立て方に問題があるため、リアルプロブレムに変換すべきであるとの提起。IITの素晴らしさと限界が提示され、フリストンらのFEPと予測誤差最小化の接続について述べられる。機能主義については懐疑的不可知論の立場。AI倫理については、欧州的価値観なのか警鐘多し「いたずらに作りたいからと言って意識を作るな」2022/08/24
RX93
6
「優れたシステム制御装置は、そのシステムのモデルでなくてはならない」「椅子は心から独立して存在するが、椅子という性質はそうではない」「(動物機械論は)意識的な知覚の起源と機能を、生理的な調節と生物の統合性の保持に求めるものである」「意識は知的であることよりも、生きていることと関係がある」現実の赤や青はそこに存在はしないが、本当に”あるかのように” 反応し振る舞う2022/10/17
いたま
5
神経科学者である著者が、意識とは何かを最新科学の知見を紹介しつつ解き明かす本。科学者でありながらも広範な哲学的な理解をもつ著者が私という、存在の本質的経験を科学的に解きほぐして(相対化)いく。著者によれば意識現象(私)とは生命活動を維持する幻覚であるという。生存という目的に対する制御・予測機構としての意識という説を展開し、生物の一つとしての人間の姿、そして流行りの人工知能との大きな違いを分かりやすく説明している。他の生物や、機械が持ちうる独自の意識の可能性について深い示唆を行う。感動的な作品。2023/04/26




