出版社内容情報
住まいの生権力からうかびあがる、日光・空気・紫外線の統治
人びとは自身の生をケアするために、環境に依存して生きている――。そして住まいという場こそ、人間/非人間をめぐるポリティクスをとらえる磁場となるのだ。人びとと医療をめぐる忘れ去られた歴史がここにひらかれる。人新世時代にとらえなおす、エコロジーをめぐる人文学。
内容説明
人びとは自身の生をケアするために、環境に依存して生きている―。そして住まいという場こそ、人間/非人間をめぐるポリティクスをとらえる磁場となるのだ。人びとと医療をめぐる忘れ去られた歴史がここにひらかれる。人新世時代にとらえなおす、エコロジーをめぐる人文学。
目次
序章 人新世の歴史を呼び覚ます
第1章 近代日本の公衆衛生研究をひらく―統治性研究の射程
第2章 曝される身体―サナトリウムにおける日光療法
第3章 日光の供給―国家なき統治としての都市計画
第4章 空気の潅漑―健康住宅の試み
第5章 住まいのエコロジー―ケアの実践と人間ならざるもの
第6章 健全なる精神―書斎と精神衛生
終章 生の環境史に向けて
著者等紹介
西川純司[ニシカワジュンジ]
1983年滋賀県生まれ。専門は社会学。2013年に京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員DC2、同PDを経て、神戸松蔭女子学院大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mealla0v0
6
本書は、理論的にはフーコーの統治性論を新しい物質主義の方面から批判的に発展させた、日本語圏ではほとんど最初の文献である。英語圏では既に先例があるが、統治が人間と人間ならざるものとの編成に対する働きかけであることが、大正期の公衆衛生、都市計画、住宅などを検討することで明らかにされている。以上の事例はよりミクロな装置である窓ガラスに注目するが、それは健康や衛生をめぐって、採光や療養、精神の涵養に関する実践と結びついており、それが統治の戦略として機能していることを示す。こうした物質を媒介とした分析は重要だろう。2022/04/28
Go Extreme
1
人新世の歴史を呼び覚ます: 近代日本の公衆衛生と生政治 近代日本の公衆衛生研究をひらく: 制度・規律・統治 エコロジー 統治性研究 曝される身体: 医学と建築と化学 分子の世界・抵抗 多元的世界 日光の供給: 排除→包摂 不浄と都市計画 暗さ 日光 都市と統治 自然の保健力と都市計画の技法 空気の潅漑: 健康住宅 環境工学的知識 多孔的な住まい 住まいのエコロジー: 家族と統治 自宅療養とケア 健全なる精神: 大正デモクラシー 健全なる精神 光りの均質化 精神の統治 生の環境史: 人類と感染症 生の環境史2022/05/11