出版社内容情報
ジュリアス・シーザーからドミティアヌスまで
ローマの政治における皇帝の肖像の重要性に始まり、何世代にもわたる無名の織物職人、家具職人、銀細工職人、印刷職人、陶芸家の作品や、メムリングやマンテーニャから19世紀のアフリカ系アメリカ人の彫刻家エドモニア・ルイスまで、様々な作品を紹介しながら、2000年にわたって12人の皇帝たちのイメージが芸術と文化の歴史に果たしてきた役割やその理由を、豊富な図版とともに紹介する。
目次
1 モールの皇帝―序章
2 「一二人のカエサル」のラインナップ
3 コインと肖像画―古代と現代
4 不完全な「一二人のカエサル」
5 最も有名なカエサルたち
6 風刺、転覆、暗殺
7 カエサルの妻は…疑われてはならない?
8 あとがき
著者等紹介
ビアード,メアリー[ビアード,メアリー] [Beard,Mary]
ケンブリッジ大学古典学教授。専門はローマの歴史と美術。ニューナム・カレッジ特別研究員。英国学士院会員、アメリカ芸術科学アカデミー特別会員。著書に『Pompeii:The Life of Roman Town』(ウルフソン歴史賞)など多数。アストゥリアス皇太子賞受賞、大英帝国勲章(デイム・コマンダーDBE)受勲
森夏樹[モリナツキ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
22
皇帝たちはどのように描かれてきたのか。ユリウス・カエサルからドミティアヌスまでの12人のローマ皇帝たちのイメージが、2000年にわたり芸術と文化の歴史に果たしてきた役割を、豊富な図版とともに紹介する。絵画多数紹介。そのうち中野京子さんが同じテーマで書きそう。2023/03/06
MUNEKAZ
17
カエサルからドミティアヌスまでの12人のローマ皇帝の「イメージ」を紹介する。近世に胸像や頭像が大量に発見されるまで、皇帝イメージの源泉は古代のコインに描かれた肖像であり、現代の我々が「カエサル」や「アウグストゥス」と認識している像も、コインの肖像と突き合わせた何ともあやふやな代物に過ぎない。多くの印象的なエピソードを挟みながら、虚実入り混じる不思議な皇帝イメージの迷宮に入り込んだような読後感。誤解されたイメージが真実となり、時代ごとの意味を付与されながら拡散していく。日本の戦国武将像にも通ずる話だ。2023/01/28