出版社内容情報
真理は我々が立つ大地であり、我々の上に広がる天空である。
オルタナ・ファクト、フェイクニュース、公文書改竄、統計不正、破綻した国会答弁、歴史修正主義、陰謀論……。異なる現実を語り、異なる世界を生きる人々とどう向き合えばいいのか。真実をめぐって分断された現代を読み解くには、時代と対峙しつづけたハンナ・アーレントの思想が手がかりになる。絶えず変化する社会に飛び込み、他者とともに「活動」を始めるための思想。
内容説明
オルタナ・ファクト、フェイクニュース、公文書改竄、統計不正、破綻した国会答弁、歴史修正主義、陰謀論…。異なる現実を語り、異なる世界を生きる人々とどう向き合えばいいのか。真実をめぐって分断された現代を読み解くには、時代と対峙しつづけたハンナ・アーレントの思想が手がかりになる。絶えず変化する社会に飛び込み、他者とともに「活動」を始めるための思想。
目次
序章 真理の危機、政治の危機
第1章 現実の書き換え
第2章 真理と政治の緊張関係
第3章 活動と嘘
第4章 言語の破壊
第5章 共通世界の喪失
第6章 ポスト真実に抗う「公共物」
終章 真理と政治を取り戻すために
著者等紹介
百木漠[モモキバク]
1982年生まれ。社会思想史専攻。関西大学法学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。修士(人間・環境学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フム
30
4年間のトランプ政権は、これがデモクラシーの国アメリカなのかと、悪夢を見ているようであった。トランプが破壊し続けたものの一つが言葉への信頼であり、ポスト真実という状況が広がった。嘘も繰り返すことでそれを信じる大衆が生まれる。選挙でトランプ陣営が主張した「オルタナティブ・ファクト」は、リベラル派の認識とは全くかけ離れていて、言葉によるコミュニケーションが成り立たないほど両者の分断を生んでいる。SNSの発展の後押しもあった。2021/06/30
PETE
2
アーレントのさまざまな著作を引用して、現代のポストトゥルース、分断化と呼ばれる政治の問題点をいかに考えるべきかが論じられている、わかりやすい本だった。 わかりやすだけに、胡散臭い。アーレントが理念化して論じたような公的世界における活動というのは、インターネット以前の政治世界にあったのか。もちろん、この30年ほどの間に生じた人々の信念における分裂と固定化は統計上の事実である。しかし、政治が語り合い、共通の事実基盤を確認し、そこから議論で解決を見出していく活動であったためしが如何ほどあったのか。2021/06/08