出版社内容情報
『チョンキンマンションのボスは知っている』著者・小川さやか氏推薦!
世界有数のメトロポリス、香港。グローバル経済、文化の中枢を担う大都会の一角に、ひとつの巨大な雑居ビル、チョンキンマンション(重慶大厦)がある。17階建てのそのあやしげなビルには、毎日100か国以上の人びとが行き交う。なぜ世界中のバックパッカーや商人たちは、チョンキンマンションをめざすのか。そこでどんな取引がなされているのか。長年にわたり現場に通い続けた人類学者が丹念に描く、もうひとつのグローバリゼーション。
内容説明
長年にわたり現場に通い続けた人類学者が丹念に描く、もうひとつのグローバリゼーション。
目次
第1章 場所(チョンキンマンションを紹介しよう;「世界の真ん中にあるゲットー」 ほか)
第2章 人々(貿易業者;オーナーと経営者 ほか)
第3章 商品(チョンキンマンション内の商品の流通;商品を売る ほか)
第4章 法律(いたるところにある法律の影;法の境界線上でのせめぎあい ほか)
第5章 未来(チョンキンマンションの変わりゆくイメージ;チョンキンマンションはどのように人々を変えるか ほか)
著者等紹介
マシューズ,ゴードン[マシューズ,ゴードン] [Mathews,Gordon]
香港中文大学人類学部教授。専門は「生きがい」「文化とアイデンティティ」「低価格のグローバリゼーション」「死後の世界」など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2023/11/05
梅田
2
かつて一度香港に足を運んだとき、手持ちの日本円を重慶大厦で香港ドルに替えてもらったことがある。けど、この建物がどんなものなのかは全く知らなかった。香港に来られるのは南アジアやアフリカの中でも渡航費用を出せる相対的富裕層だけで、彼らがこの建物で買い付けた携帯電話を母国に持ち帰り販売する…一時はサハラ以南に流通する携帯電話の20%が重慶大厦を通過していたというのだから驚き。原著が出版されてから10年、香港の政治情勢は激変したけど、重慶大厦への影響は大きくはないとのこと。2021/08/28
SQT
1
南アジア、アフリカ系の貿易業者・商店主は香港に行くことができるという点で彼らの祖国のなかでは裕福だが、事業で成功すると名誉となり、家族に家を建てることができる一方で、失敗すると恥となる。そのなかで、彼らは「稼ぐ」ことを考えるが、滞在しやすいかどうか(香港のビザ制度)などによってハンデがあり、時に騙し騙されといったことや、合法な滞在者から不法滞在者への「搾取」もあるものの、彼らは得てしてその不平等に不平を言うことはない。インドとパキスタンの間での緊張も、重慶大厦のなかでは「互いに稼ぐために来ている」という2021/05/09
Tsuki-Natsu
0
香港中心地に立つ巨大な雑居マンション「重慶大厦」では、一攫千金を夢見るアフリカ人や南アジア人の労働者や亡命者、冒険心に惹かれた西欧人、香港人など多様な人々が交錯し、「低価格のグローバリゼーション」を展開する。 インタビューの書き起こしは、つねに不安定な状況に置かれながらも成功に焦がれる彼らの現実、グローバリゼーションの影となる部分を知るうえで一読に値する。 情報は2000年代後半とやや古い。解説を担当した小川さやかの『チョンキンマンションのボスは知っている』と併せて読むのが良いだろう。2025/06/09
akiu
0
香港の住居・雑居ビルとそこに住む人々のルポ。下からのグローバリゼーションを体言する場として興味深く読んだ。2000年代後半の内容だが、日本版あとがき(2021年)や小川さやか氏の解説が、現状も補足してくれている。2022/03/03