出版社内容情報
2006年に始まったブログ「ガメ・オベールの日本語練習帳」。日本国内外の文学や政治、文化、音楽、経済などテーマは多岐に渡り、著名人たちを含む多くのフォロワーを持つ。2020年10月に突然ブログが閉鎖、ツイッターも更新が停止となり、ファンたちから復帰を呼びかける声が殺到した。「#日本語練習帳の書籍化を希望します」というタグが作られ、現在に至るまで書籍化を熱望する声が寄せられている。
本書では2006年から書かれた1
内容説明
日本の友達に向けて書き続けてきた東京、日本語、Integrity、太平洋戦争、Covid‐19、性、鬱、友達、BLACK LIVES MATTER、貧乏、日本文学。2006年のブログ開始から2020年の閉鎖までに書かれた全1846本の記事からJames F.が自ら選んだ作品に書き下ろしを加え、初の書籍化。
目次
1(再び汚れた髪について;陽だまりに休む権利 ほか)
2(反サバイバル講座;ラットレースから抜け出す ほか)
3(言語と思考その3;日本語ノート3 ほか)
4(平成日本への道;十七歳)
5(ふたつの太平洋戦争;太平洋戦争へのノート2 大西瀧治郎と神風特攻隊 ほか)
6(東京の思い出2;Tさん ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
13
『人民解放軍が台湾に武力侵攻した場合、韓国と日本は、ほとんど瞬時に戦場になる。戦争技術的に空母を中心とする機動艦隊や島嶼水陸両用作戦部隊の海兵隊は過去のものになって・・、中距離ミサイルとドローン、戦場のIT中枢としてのFWなどのインテリジェント戦闘機の時代では、主戦場の半径がおおきくなって、日本などは北海道以外は、すっぽりと戦域に収まってしまっている。(p360)』そりゃね、戦闘機100機でどうにかなるのかと疑問に思ってたよ。ガラパゴス日本の実態を明らかにしてくれる、ぜひとも若者に読んで欲しいと思う好著。2021/07/22
みなみ
11
Twitterをやっていて日本語ブログを書いているガメ・オベール氏の書籍。まず装丁が美しく、あまりに美しいためにそのまま置いておくとカバーが汚れてしまう。章ごとに差し込まれる線画のイラストにも雰囲気がある。本に収録されたブログは既読も未読もあるが、印象深い章は太平洋戦争について書かれたものとインドの女性のJyoti Singhの章。日本の性犯罪では女性も被害者を攻撃することに言及されている。太平洋戦争の章では、日本社会で認識されていることと、アメリカやイギリスで認識されていることの落差が見えてくる。2021/12/14
kuukazoo
10
図書館のマイページの「読みたい本」に登録されていたがいつ、なぜかも既にわからず。元はブログだったのを書籍化したもので、日記かと思ってたけどエッセイ(試論)だった。モチーフは差別や格差、政治、国際関係、歴史、文学など。最初文章がすごく読みづらくイラついてきたのでやめようかと思ったが鮎川信夫や岩田宏など詩人の話から文学と言語の話になったあたりは面白く、その後全共闘とか昭和後期の政治史とか特攻作戦の話もそれなりに興味深く、気づくと読み終わっていた。どんな文体であれ本人にとって書くことは考えることだなと気づいた。2025/01/26
よきし
3
日本に憧れ、日本にハマり、そして日本に絶望したルーツを日本外に持つ一人の人間が書いた恋文のようなエッセイ集。富裕層ゆえのおおらかさと繊細さで揺れ幅の大きい期待と絶望を美しい日本語で語られる。日本の文化的な歴史の価値を高く評価しつつ、現代日本社会の絶望的状況を辛辣に描き、西洋社会から見た日本という視点からも歴史を再構築する。それは時に植民地主義を世界に広げた西洋正当化にもつながる自文化中心主義的な危うさも感じさせるが、たくさんの気づきと出会えた一冊。そしてお金に困らないって素晴らしい。2021/06/16
zikisuzuki
1
日本語の美しさについて色々発見しながら読んだ。私が実生活で全く出会えなかった岩田宏の詩が好きな人が英国人だと言うのはショックだ。そして思いを伝えるのに言語は役立たずだと言い切っている、何て頭の良い人だろう。特攻が対戦国兵にどう思われていたか等々、日本人として本当の事を知るのは怖いけど一つでも多く本当の事を知りたい。日本人の私は自由を見たこと無いけど自由に憧れる。昭和30年代生まれの私には苦しく懐かしい事柄も出てきた。dignity に当たる日本語は無いそうだけど品性を保って生きていきたい。勉強になった。2022/01/25